政府が来月中旬に策定する成長戦略のうち雇用分野の概要が5月28日、判明した。
職種や勤務地、労働時間が限られる「限定正社員」の普及を促するため、2014年度中に賃金体系や人事評価の在り方などを盛り込んだ雇用ルールを整理することが柱。
限定正社員は明確な雇用ルールがなく、産業界が整理を求めている。
転勤のない勤務や短時間の仕事など正社員としての多様な働き方の実現を後押しする。
判明した概要では、2013年度に有識者による検討会を設置し、2014年度中に雇用管理上の注意点をまとめたルールを整理する。
決められた職務や勤務地がなくなり、人員整理が必要になった場合を想定したルールの在り方も議論する。
成熟産業から成長産業への「失業なき労働移動」を実現するため、従業員の再就職を支援した企業に支給する「労働移動支援助成金」の対象を大企業にも拡大。
一方、企業の雇用維持を支援する「雇用調整助成金」は縮小し、2015年度までに予算規模で労働移動助成金が上回るようにする。
実際の労働時間とは関係なく賃金を支払う「裁量労働制」のうち、企画や調査などの事務系社員に限定されていた「企画業務型裁量労働制」の対象職種の拡大を検討。
今秋から労働政策審議会で議論し、1年後をめどに結論を出すべきとした。
成長戦略は、国際展開戦略、戦略市場創造プラン、日本産業再興プランの3本柱で構成され、雇用分野は、産業再興プランの主要部分を担う。
「雇用改革のポイント」
●職種や勤務地、労働時間が限られる「限定正社員」を対象とした解雇ルールを整備
●限定正社員の解雇には、経営上のやむを得ない事情と、労働組合や労働者の納得を得られるような説明、協議が必要。
●企画業務型の裁量労働制の導入手続きの簡略化。
●ハローワークと人材紹介企業が求人情報を交換できるような関係強化
限定正社員とは、職種や勤務地、労働時間などが限定された正社員であり、地域限定正社員や短時間正社員などがあり、長時間勤務や転勤のある正社員に比べ、子育てや介護との両立がしやすい利点がある。
派遣社員や契約社員といった非正規労働者が、雇用期間の定めのない限定正社員に転換することで、より安定した処遇を得られると期待されている。
ただ正社員より賃金水準が低いことが多く、正社員からの切り替えは待遇の引き下げが懸念される。 正社員よりも解雇条件を緩和され、雇用は不安定化。
「多様な働き方の実現を後押しする」としているが、決して良いことばかりではない。
日本のため、本制度をよく検討する必要がある。