中国軍機が8月に日本領空を初めて侵犯した問題で、中国政府が9月、「予期しない妨害」が原因だったと日本政府に伝えていたことが11月2日分かった。
ミスとは認めなかった。
自衛隊機による中国軍機の追跡を「妨害」と主張している可能性がある。
領空侵犯という国際法上の違法行為の責任を自衛隊機に転嫁した形だ。
再発防止策も示しておらず、日本側は反発している。
複数の日中外交筋が明らかにした。
領空侵犯の原因に関する中国側の釈明が明らかになるのは初めて。
石破茂首相は11月中旬に南米で開かれる国際会議に合わせて調整している習近平国家主席との初会談で詳細な説明を要求する方針だ。
中国政府が原因究明や再発防止に消極的な姿勢を取り続ければ、偶発的衝突など不測の事態への懸念が強まる。
中国政府は領空侵犯の直後から恵只と北京の外交・防衛ルートで日本側と意思疎通を図った。
外交筋によると、中国側は9月、領空侵犯の原因を巡り日本や自衛隊を名指しはせずに「妨害」があったと言及。
「完全に偶発的な状況だった」と強調し、中国の意図的な行為ではなかったと主張した。
さらに、領空侵犯は海上自衛隊の護衛艦「すずつき」による7月の中国領海誤侵入に対する「反応ではない」とも指摘し、意趣返しの意図を否定した。
「妨害」があったとする中国政府の主張に対し、日本政府は「意味が不明だ」と批判。
「すずつき」の領海侵入については、艦長が正確な位置を把握できずに起きた技術的ミスだと日本は認めており、同様に明確に答えるよう中国に求めた。
対応を拒み続ければ日本の国内世論が悪化し問題の収束は困難になるとも迫った。
防衛省によると、中国軍のY9情報収集機が8月26日午前11時29分から約2分間、長崎県五島市の男女群島沖で領空侵犯した。
航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。