中央最低賃金審議会が7月29日まとめた2014年度最低賃金の増額の目安は、全国平均で時給16円増となり、前年度実績を上回り、3年連続で2桁の増加となった。
働いた場合の手取り収入が、生活保護を下回る逆転現象が起きている5都道県すべてで逆転が解消する。
しかし消費税増税による物価上昇などを考えれば、低所得者の暮らし向きを改善させるには力不足だ。
協議の舞台は地方審議会に移るが、目安にどれだけ上積みできるかが焦点となる。
総務省によると、消費者物価指数の前年同月と比べた上昇率は4月の消費税増税の影響で、6月まで3ヵ月連続で3%を超えた。
一方、目安通り引き上げても最低賃金の上昇率(全国平均)は2%程度にとどまり、低所得者の所得の伸びが物価に追いつかない。
これでは家計は苦しくなる。
パートなど非正規労働者として働く人の割合は35%を超え、最低賃金やそれに近い水準で働く低所得者も少なくない。
現在の最低賃金では、フルタイムで働いても月収12万円足らずとなる地域もある。
最低賃金を大幅に増やさなければ、働く人全体の処遇改善にならず、消費拡大にもつながりにくい。
一方、業績回復が遅れている地方の中小企業にとって、引き上げは経営の重い負担となる。
雇用を控えるなどして地域経済が冷え込まないよう、政府には一層配慮した政策が求められる。