政府は6月14日、官民の総合的なデジタル戦略をまとめた「IT新戦略」を閣議決定した。
全国に約20万8千基設置されている信号機を、第5世代(5G)移動通信システムの基地局の設置場所として利用できるようにすることが柱。
高速大容量で、産業や生活など幅広い分野での活用が見込まれる次期通信規格の普及を後押しするのが狙いだ。
政府は2020年度末までに全都道府県で5Gサービスを始める計画だ。
米国や中国など世界的にも開発競争が熱を帯びる中、今後の国際競争力を左右する技術として、インフラの整備を急ぐ。
信号機への基地局設置は2025年度までに完了させる。
基地局の設置と合わせて、全国の信号機の通信ネットワーク化も進める。
交通情報の収集や自動運転向けのデータ通信などに活用できる。
2020年度から実証実験を始める。
5Gは電波が遠くまで届きにくく、膨大な数の基地局が必要となる。
ビルの屋上など設置に適した場所は既に飽和状態で、新たな設置場所探しが課題だった。
信号機を活用できれば、コストを抑えながら、迅速な整備が可能となる。
5Gは、現行の4Gの100倍を超える通信速度が特長で、高精細な動画をスマートフォンなどで手軽に楽しめるようになるほか、重機やロボットの遠隔操作などへの活用も期待されている。
総務省は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイルの4社に電波を割り当てている。
今煥これらの通信事業者と総務省や警察庁といった関係省庁が協議を進め、具体的な計画を策定する。
IT新戦略には、デジタル技術を活用して自治体の行政サービスの効率化を進めることも盛り込んだ。
運転免許の手続きの簡略化や運転者情報の一括管理などを進める。