4~9月の本年度上半期の生活保護申請が計12万9606件に上り、前年同期比で5・4%増えたことが12月29日、分かった。
5月に新型コロナウイルス禍から平時に移行し、困窮者向けの支援策の多くが終了したことが背景にある。
こうした層には株価上昇や賃上げの効果は行き届かず、物価局も追い打ちをかける。
総社市や鳥取市は低所得世帯への7万円給付の支給を始めた。
公的機関が年の瀬から閉まる中、困窮者らの孤立防止は欠かせない。
支援団体は食料を配布し、悩みを抱える若者が利用しやすいようチャットや電話による相談を行う。
生活保護申請件数に関する厚生労働省の公表データを分析した。
2023年4~9月はコロナ前の2019年同期(11万4067件)と比べると13・6%増えた。
コロナ1年目の2020年は前年同期比で1・1%減少。
その後3~4%台で増え、コロナ後の2023年は5%超の増加となった。
コロナ禍では、困窮者を対象に最大200万円の「緊急小口資金」と「総合支援資金」の特例貸し付けを実施。
現在は返済が求められている。
厚労省担当者は「コロナ禍の公的支援が縮小し、生活苦に陥る人が増えている」と述べた。
政府が物価局対策で行う非課税世帯への7万円給付について、総社市は12月20日、鳥取市は12月25日、金沢市や名古屋市は12月26日に、それぞれ支給を始めた。
同月上旬の共同通信の調査では、都道府県庁がある47市区のうち29市は年内開始は困難と回答しており、自治体によっては実施時期が遅くなる可能性もある。
貧困家庭の子どもを支援するNPO法人「キッズドア」の食料配布には、過去最多の2614世帯が申し込んだ。
担当者は「中小企業や非正規で働く人に賃上げの恩恵は少ない。 生活が苦しい家庭は多い」と語った。
NPO法人「あなたのいばしょ」は24時間、チャットで相談に乗り、若者の自殺対策などに取り組む。