厚生労働省は12月24日、年金制度改革の報告書をまとめた。
厚労相の諮問機関である社会保障審議会の部会に示し大筋で了承を得た。
厘生年金の積立金を使って全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)を底上げする改革は、経済や雇用の停滞が続くことを条件に行うと位置付けた。
年金財政が悪化し、年金の給付水準が著しく低下するのを避けるためだ。
与党と調整し、来年の通常国会への法案提出を目指す。
報告書には、会社員に扶養されるパートらが厚生年金に入る年収要件(106万円以上)を撤廃する方針も盛り込んだ。
働き控えを招く「106万円の壁」とされてきた。
加入者を増やして老後の給付を手厚くする。
底上げは、基礎年金だけに入る自営業者らが老後に低年金となるのを防ぐ狙いがある一方、財源の半分を賄う国庫負担が兆円単位で必要になる。
年金には財政が安定するまで給付水準を抑制する「マクロ経済スライド」という仕組みがある。
厚労省は今夏、複数の経済パターンで年金財政を検証。
過去30年と同程度の経済状況が続く標準ケースでは、現役世代の手取りに対する夫婦の厚生年金(基礎年金を含む)の給付水準は、2024年度の61・2%から2057年度の50・4%に低下。
底上げすると2036年度に56・2%で下げ止まる。
経済が好調なケースでは、改革しなくても給付水準は57・6%を維持し、底上げの必要性は乏しくなる。