香港の次期長官選挙の制度改革をめぐり、民主派は9月28日、金融街「セントラル(中環)」を占拠する大規模抗議行動の始動を宣言した。
中環の隣接地区で学生ら約5万人が主要幹線道路を、ほか2万人が政府本部庁舎前を占拠。
警察は催涙弾を発射して幹線道からの強制排除を開始し、26人が負傷した。
香港警察が催涙弾を使用するのは極めて異例。
香港東西を結ぶ最重要道路のまひで大混乱しており、経済に打撃を与える懸念が現実味を帯びてきた。
学生らは梁行政長官の辞任を要求し、同日中に辞任しなければ無期限に授業ボイコットの抗議行動を続けると宣言した。
香港警察は催涙弾を複数回発射して一部を解散させたが、学生らは幹線道路に戻ったため、直ちに解散しなければ発砲すると警告した。
プラスチック弾を準備しているとの情報がある。
中環占拠は10月1日に実施予定だったが、学生らに触発され前倒しで始まった。
計画者の一人、戴香港大准教授は中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会に、長官選から事実上民主派を排除した決定の取り消しを要求し、香港政府に対しては決定の基となった全人代への報告書を撤回し市民の考えを反映した報告書を再提出するよう求めた。
戴氏はこの二つの要求がかなえられなければ「占拠をさらにエスカレートさせる」と言明。
市民らには「新たな時代を始めよう」と訴え、学生らの抗議行動に加わるよう呼び掛けた。
学生らは9月26日朝から政府本部庁舎前で抗議行動を続けており、衝突で民主派の議員らを含めこれまでに少なくとも78人が逮捕された。
香港には中国共産党の一党独裁体制下で高度な自治を認める「一国二制度」が適用され、香港の憲法に当たる「香港基本法」は将来的な普通選挙の導入を認めている。
2017年の行政長官選では、1人1票の選挙が実現する見通し。
しかし中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は8月31日、2017年の行政長官選挙に向け、民主派を事実上排除する立候補資格制度の導入を決めたため香港で一気に反発が広がった。
香港は、習氏の「一国二制度つぶし」を阻止できるか。