ギリシャ議会は6月28日、欧州連合(EU)などの債権団がギリシャに金融支援の条件として受け入れを求めた財政緊縮策の賛否を問う国民投票を7月5日に実施するかどうかの採決を行い、賛成多数で承認した。
これに先立ちEUユーロ圏は6月27日、6月末に期限を迎えるギリシャ支援の延長拒否を決定。
ギリシャで予定通り国民投票が行われ、「反欧州」の民意が示されれば、ユーロ圏との対立は決定的となる。
難航していた支援協議は決裂の瀬戸際となり、ギリシャはぎりぎりの状況に追い込まれた。
デフォルト(債務不履行)に陥る懸念から、週明けの金融市場は波乱含みの展開となりそうだ。
チプラス首相は6月27日、国民投票を7月5日に実施すると突如表明した。
6月28日の議会採決では与党の急進左派連合(SYRIZA)や一部野党が支持。
地元テレビによると、賛成票は承認の条件となる過半数を大幅に上回った。
地元メディアによれば、国民投票の実施には議会の承認を得た上で、パブロプロス大統領の了承が必要。
チプラス首相は「欧州各国が望もうと望むまいと、国民投票は断行する」と強硬姿勢を崩していないが、パブロプロス大統領が慎重とされ、実際に実施できるかどうかはなお不透明だ。
一方、EUは6月27日のユーロ圏財務相会合で、ギリシャが要請した支援期間の延長を拒否。
記者会見したデイセルブルム議長は、「残念だが支援は6月30日で終了せざるを得ない」と述べた。
ギリシャは6月30日に15億ユーロ(約2000億円)の国際通貨基金(IMF)への債務返済を控えているが、支援が得られなければ返済は極めて厳しくなる。
債権団は、ギリシャの緊縮策受け入れを条件に、現行支援を5か月間延長する案を準備していたが、ギリシャは6月26日夜に交渉を一方的に打ち切ったという。
首相は提案諾否の決断を民意に求めることで自らの責任を回避し、政治的生き残りを優先した。
国民投票は提案拒否を首相が正当化するのが狙い。
国民投票は1974年にギリシャ軍事政権が崩壊し、君主制が廃止されて以来初めて。
最新世論調査によると、ユーロ圏残留を望む国民は約7割。
だが、5年に及ぶ経済危機で国民は疲弊しており、緊縮策への反発は根強い。
残留を望む「親EU派」と、離脱も辞さない「反緊縮派」の亀裂が深まるのは間違いない。
パブロプロス大統領の了承、および国民投票結果に注目が集まる。