80代になっても元気でいるためには、70代の生活で気をつけるべき2つのポイントがある。
それは、活動意欲を維持するということと、運動機能を維持するということの2つ。
まず、意欲の低下を防ぐ意味で、勧めたいのは、「肉を食べる」ということ。
日本人の食生活も欧米化してきたと言われているが、それでも1日当たり80グラムほどしか肉を食べていない。
一方、アメリカ人は300グラムほど食べている。
日本人には肉が不足していて、その傾向は、高齢者ほど強くなる。
歳をとると意欲レベルが低下してくる理由にはいくつかあるが、そのひとつが、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの減少だ。
セロトニンは別名「幸せ物質」とも言われ、人に幸福感をもたらすもの。
このセロトニンが減少してくると、日々の幸福感は薄れ、はつらつとした感情や若々しさ、活動する意欲が低下してしまう。
気分が沈んだり、イライラしたり、感情が不安定になり、うつ病のリスクも高まってくる。
肉がセロトニンの生成を促進する。
セロトニンの材料となるのがトリプトファンというアミノ酸だが、それが多く含まれているのが肉なのだ。
肉を積極的にとることで、セロトニンの生成が促進され、意欲低下の抑止に働く。
また、肉には、コレステロールもたくさん含まれている。
コレステロールは動脈硬化を促進し、心筋梗塞のリスクになるという理由から悪者として見られているが、日本の高齢者にとっては必ずしも忌避すべきものではない。
コレステロールを減らすことによってもたらされる男性ホルモンの減少のほうを恐れるべきだ。
コレステロールは男性ホルモンの原料になる。
そのため、コレステロール値を薬で抑制することで、EDになることはよくあることだ。
男性ホルモンのなかでも特にテストステロンは「意欲」と関係している。
性機能の面だけでなく、他者への関心や集中力などを司っている。
男性ホルモンが減少すると、活動意欲が低下して、元気のない老人になってしまう。
ついでに言うと、記憶力も低下する。
しかし、肉を食べ、コレステロールをよくとっていれば、男性ホルモンの低下にも対抗することができる。
さらには、セロトニンを脳に運ぶ役割も、コレステロールが果たしていると言われている。
つまり、肉を食べることは、セロトニンと男性ホルモンの生成を促進し、人の「意欲」を高め、活動レベルを維持することにたいへん効果的なのだ。
病気を患って急に老け込むということがあるが、そうではない場合、老化は意欲の低下によって加速する。
何事にも関心がもてない、身体を動かすのがおっくうだ、人にも会いたくないし、外にも出たくないといった不活発な傾向が70代ともなると自然と強まってくる。
この意欲の低下を防がないと、日常の活動レベルはどんどん落ちていき、運動機能も脳機能も一気に老け込んでいくことになる。
だから、70代になっても意欲レベルをなるべく維持することが、元気でいるためには必要なのだ。
また、運動機能においても、70代のまだ身体の動く時期にどのように過ごすかで、80代以降の機能が決まってくると言える。
70代に、自分で意識して適切な運動を心がけることが重要となってくる。