2018年度予算の各省序からの概算要求が8月29日、大枠で固まった。
安倍政権が掲げる「人づくり革命」に沿った施策が柱で、女性の活躍や地域の人材育成を後押しするため社会人の学び直しを推進。
違法な長時間労働の取り締まり強化に向け、労働基準監督官の100人増員を盛り込むなど「働き方改革」にも重点を置いた。
社会保障や公共事業、防衛費なども含めた要求総額は101兆円前後と、4年連続で100兆円を超える見通し。
財務省は8月31日に要求を締め切って査定に入るが、歳出の膨張をどこまで抑制できるかが焦点となる。
「人づくり」関連では、文部科学省が社会人の学び直しに取り組む大学や専修学校の支援に44億円を求める。
女性の学び直しを促して復職につなげるほか、地域経済を支える人材を育成する機関として専修学校の役割を重視し、ITなど実践教育を充実させる。
厚生労働省は、若者を対象とした新たな能力開発事業に6億円を要求。
基礎知識から専門分野の資格取得まで一貫して支援する。
働き方改革関連では、終業から次の始業までの休息時間を確保する「勤務間インターバル」を導入する中小企業への助成金などに15億円を求める。
総務省は、情報通信技術(ICT)を活用して地方でも都市部と同じように働けるようにする「ふるさとテレマーク」に7億円を要求。
企業の取り組みを促すため環境を整備する自治体に経費を補助する。
内閣府は、男性の家事や育児を支援するため、官民協議会を設置して休暇取得を促進する施策を打ち出す。
「人つくり改革」は人材育成を通じて生産性を高め、経済成長につなげることなどが狙い。
焦点となる幼児教育の無償化や大学授業料の負担軽減は、新設する有識者会議で9月以降、制度設計を議論する。
概算要求段階では奨学金制度の拡充などを求めるにとどめ、年末に向けて財源とセットで検討する方針だ。