大企業を中心に全国に約1400ある健康保険組合に、加入者全体の健康状態や医療費水準などを「成績表」にして通知する取り組みを、厚生労働省が来年度から始める。
健保組合を通じて経営者に自社の状況を把握してもらい、企業と健保組合が一体となって従業員の病気予防や健康づくりを進めることで、医療費削減につなげる狙いがある。
厚労省は8月下旬に財務省へ提出する来年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む方針。
人手不足の深刻化や、仕事と生活の両立に対する意識の高まりを受け、従業員の健康増進に積極的に取り組む「健康経営」に企業の注目度が上がっている。
成績表は一般には公表されないが、企業が自主的に発表すれば学生が就職活動で判断材料にすることもありそうで、企業間の競争を生む可能性がある。
厚労省は、経済界や医療団体でつくる「日本健康会議」と連携。
40~74歳を対象にした特定健診(メタボ健診)のデータを使い、健保組合ごとに、(1)食事や喫煙、運動などの「生活習慣」、(2)肥満や血圧といった「健康状況」、(3)医療給付費、(4)特定健診や保健指導の実施率などの項目について、全国平均と比較して点数を付けて通知する。
同業他社との比較や、ランキング表による評価も想定。
公務貝らが加入する共済組合などにも今後、広げていく。
厚労省は、健保組合で特定健診や保健指導の実施率が一定の基準を下回った場合に、高齢者医療への拠出金負担を増やす「ペナルティー」についても、来年度から段階的に強化する方針を決めている。