安倍首相が設置した安全保障に関する有識者懇談会は9月17日、約7カ月ぶりに議論を再開し、集団的自衛権行使を禁じている憲法解釈を見直す方針を確認した。
全面的な行使容認を盛り込んだ報告書を年内に策定し、首相に提出する予定だ。
集団的自衛権を共に行使する対象国や、自衛隊の派遣要件見直しが焦点となる。
安倍政権は報告書を踏まえ、行使容認に慎重な公明党と調整を進める方針だ。
首相は懇談会で「いかなる憲法解釈も国民の生存や国家の存立を犠牲にしてはならない。憲法制定以来の変化を直視し、新しい時代にふさわしい憲法解釈の在り方を検討していく上での基礎となることを期待したい」と述べ、積極的な議論を求めた。
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は2月に初会合を開いて以降、参院選への影響を考慮して議論を中断していた。
9月17日の懇談会ではメンバーから「沖縄県の尖閣諸島周辺海域で中国が領海侵入を繰り返しており、武力攻撃に至らない事態にも対応できる法整備が必要だ」「日本として協力が不十分だった1991年の湾岸戦争のような事態は避けないといけない」との意見が出た。
懇談会では今後、集団的自衛権のほか、国連憲章に基づく集団安全保障への参加や個別的自衛権の要件緩和などについて議論を深める。
次回会合は10月中に開く。
公明党の動き、国会の審議など今後の動向に注目。