韓国の朴大統領の弾劾訴追理由に含まれた2014年の旅客船セウォル号の沈没事故対応に関し、韓国国会が12月22日開いた聴聞会で、朴氏が海洋警察庁長官に救助活動を強化するよう電話で指示したとのこれまでの政府の説明が虚偽だった疑いが浮上した。
聴聞会で公開された記録には朴氏側から指示があったことを示すものがなかった。
一方、朴氏の罷免の可否を判断する憲法裁判所は12月22日、1回目の審理準備手続きを開き、事故当日の朴氏の行動を詳細に説明するよう要求。
憲法裁が検察や特別検察官に捜査資料の提供を求めたことに反対して朴氏側が行った異議を棄却した。
朴氏は事故当日、約7時間にわたり対策本部に姿を現さず、野党などは事故対応をせずに美容施術を受けていた疑いがあると主張している。
セウォル号は2014年4月16日午前10時半ごろほぼ水没。
大統領府などはこれまで、同時刻に朴氏が金・海洋警察庁長官(当時)の携帯電話に電話をかけ「特殊部隊を投入して救助に当たれ」と指示、その後も、大統領府内の住居施設内で書面報告を受けたと説明していた。
しかし聴聞会で公開された記録によると、同時刻には金氏の携帯電話を使った通話はなく、同10時37分に大統領府の国家安全保障会議(NSC)と海洋警察庁司令室が交わした通話内容にも、「特殊部隊の投入」が言及されていないことが分かった。
このため朴氏の指示自体が存在せず、事故対応を全く行わなかったとの見方も出ている。
この日の聴聞会には、大統領府で高官不祥事の監察に当たりながら朴氏の親友、崔被告の国政介入を放置した疑いがある萬・前民情首席秘書官が出席、介入には気付かなかったと主張した。