韓国の文政権は北朝鮮との対話を重視する立場で、統一省報道官は5月22日、南北関係の断絶状態は望ましくないとして「国際社会の北朝鮮制裁の枠組みを傷つけない範囲で、民間交流などは柔軟に検討していく」と述べた。
だが、5月10日の政権発足後、北朝鮮のミサイル発射は既に2回目。
保守系野党からは政府批判も出始め、対応に苦慮しそうだ。
文政権は朴前政権の強硬姿勢が南北関係を断絶させたとの考えを持つている。
文氏がかねて経済協力事業の開城工業団地の再開を主張してきたのに対し、統一省は「国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議に違反する恐れ」を指摘。
一方、同省の当局者は政権発足の5月11日「(違反か否か)検討の必要がある」と述べるなど、微妙な変化をうかがわせた。
文氏は5月21日、大統領府の国家安保室長のポストについて、軍出身者を充ててきた前政権の方針を一転させ、外交官出身の鄭・元ジュネーブ代表部大使を任命。
「(前政権は)安全保障を国防の側面のみから狭く見ていた」と批判し、対話重視を鮮明にした。
ところが文氏がこの人事を発表し、南東部の慶尚南道梁山にある私邸で休暇に入った直後、北朝鮮はミサイルを発射し、文氏は不意打ちを食らった形となった。
保守系野党の自由韓国党は5月22日、地方で休暇を続けた文氏を「不適切だ」と批判し、統一省報進官が南北交流に前向きな態度を見せたことも「北朝鮮の挑発から1日もたたずに出た政府発表とは信じ難い」と非難した。