日本が2015年に輸入した主要な天然水産物のうち、違法だったり水産当局に漁獲量を報告しなかったりする不正な漁業によるものが3割程度を占めていたとする推計を、カナダ・ブリティツシュコロンビア大などの研究チームが9月18日までにまとめた。
稚魚の密漁や密輸が指摘される中国からのウナギの比率が最も高かった。
土用の丑の日などの大量消費を支えているとみられ、最大で輸入量の75%、1万3603トンに達したと推計している。
こうした漁業は、適切な規制のないものと合わせ「違法・無報告・無規制(IUU)漁業」と呼ばれる。
水産資源の持続的な利用を脅かすとして、米国や欧州連合(EU)は漁獲証明の義務付けなど対策を進めている。
チームは日本の取り組みの遅れを指摘し「対策を強化しないと、欧米に輸出できない違法な水産物が今後、さらに日本に入ってくる」と警告した。
チームは日本が水産物を多く輸入する中国、台湾、米国、ロシアなど9力国・地域の貿易データを分析。
業者や税関職員にも聞き取り、メバチマグロやウナギ、サケ、イカなど27品目で違法な水産物の量を推定した。
その結果、これらの国・地域から2015年に日本が輸入した49万5792トンのうち、12万1538~18万4774トン(25~37%)が違法や無報告の漁獲と判明した。
比率は中国のウナギが最も高かったが、量が最多だったのは中国からのイカとコウイカで計2万6950~4万2350トンだった。
米国のスケトウダラ、台湾のメバチマグロ、中国のウナギ、ロシアのサケが続いた。
調査は違法漁業問題などに取り組む市民団体オーシヤン・アウトカムズ(東京都)などの委託。
結果は海洋政策に関する国際学術誌「マリンポリシー」に発表した。