非正規社員の基本給を引き上げた企業に政府が人数に応じて助成金を支給する事業を巡り、2019年度の適用が数人にとどまり、7千人の想定を大幅に下回っていることが2月8日、分かった。
政府は利用が低迷しているにもかかわらず、2020年度予算案では事業費を前年度より2億円多い7億円とした。
企業に賃上げを促す安倍政権の看板政策で、検証が不十分なまま、なし崩し的に増額されている。
政府は正規と非正規の不合理な所得格差をなくす「同一労働同一賃金」の取り組みを進めているが、企業の動きは鈍い。
連合も2020年春闘で非正規社員の賃金、待遇の改善に力を入れているが、助成金による後押し効果は限定的となりそうだ。
問題の事業は、社貝の能力開発や賃上げを狙った「キャリアアップ助成金」のうち、有期契約である非正規社貝の社会保険加入と基本給増額を促す「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」だ。
助成額は社会保険に加入させた上で、基本給の増額割合に応じて段階的に増える。
例えば、中小企業の場合、1人当たり3%の引き上げで2万9千円、最高の14%以上の引き上げでは13万2千円となる。
支給は1回に限られる。
これまでの適用実績は、制度の始まった2017年度が0人で、2018年度は2事業所の2人のみ(計5万7千円)。
2019年度も数人と極めて低調なため、政府は利用拡大に向け、4月から基本給増額の要件を緩和する方向で見直しを検討している。
厚生労働省の担当者は「助成金の存在自体を知らない事業者も多いと思うので、広報活動にも力を入れて適用拡大を目指す」とコメント。
2020年度に1人当たりの支給単価を増やした上で想定する5千人の利用についても達成可能だとの楽観的な見立てを示している。
政府関係者からは「財務省から厳しい査定を受ける一般会計と異なり、今回のように労働保険特別会計で行う事業の場合、制度の創設や補助金増額の見通しが甘くなりやすい」との声が出ている。