踊る小児科医のblog

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トヨタが消費税を納めていないわけ

2006年12月11日 | 政治・行政
トヨタ自動車は消費税を1円も納めていない。それどころか、2千億円近くの還付を受けているというから驚きですが、そのカラクリについては私は専門家でもないし上手く説明できないので資料を引用しておきます。(浦野広明・立正大学法学部教授の講演録より-青森県保険医新聞掲載)

■トヨタ自動車の消費税・地方消費税概算計算(2004年)
1.課税売上高
 A.総売上高      9兆2183億円
 B.うち輸出売上高   5兆5634億円
 C.差引課税国内売上高 3兆6549億円
2.課税仕入額      7兆5820億円
3.消費税額の計算
 D.輸出販売に対する消費税額=B×0%     0 円
 E.国内課税売上高に対する税額=C×5%=1827億円
 F.仕入れ税額控除額=<2>×5%=   3791億円
 G.差引還付税額=E-F=    マイナス1964億円(還付)
(湖東京至「日刊ゲンダイ」2005年10月27日付を浦野氏が簡略化計算)

同じ趣旨のもので少しデータは違いますが、
輸出上位10社で戻し税1兆円 消費税収の23%が大企業へ トヨタ1社で2,291億円
関東学院大学教授 湖東京至さんが試算

 
要は、輸出製品には外国人から税金を徴収できないので「ゼロ税率」が適用されていること。
実は、これが医療界が求めていることそのものなんです。
普通の商品なら、例えば100円のお菓子を80円で仕入れて4円の消費税を払い、それを定価100円で売って5円の消費税をお客さんから預かる。その差し引き1円を納税する仕組みですよね。
ところが、医療機関では薬や医療機器などを消費税を払って購入し診療に用いるわけですが、患者さんからは一切消費税はいただけない。
そうすると、ナゼか医療機関が最終消費者になってしまうわけです。
これで消費税が3%から5%、10%、15%とどんどん上げられていけば、今でも厳しい医療機関の経営は困難を極めることになります。(最近のデータで中小病院の6割が赤字だとか…)
しかし、今の情勢では「ゼロ税率」が実現する見込みはほとんど「ゼロ」。
トヨタは還付金でがっぽり儲けているのに。(と表現するのが正しいかどうか自信はありませんが)

■非常に高い日本の消費税
      消費税率   国税収入比率
日本     4  %  21.6%
イギリス  17.5%  21.5%
イタリア  20.0%  27.5%
アメリカ   0  %   0  %
(永長正士編『日本の税制』【平成15年版】財経詳報社2003年7月)