年初早々ショッキングなことがありました。身近の方が「肺がん」と
判りました。自覚症状は、声がかすれた、水が飲めなくなったので、
どうして?と思っていたら、それから数日して体調が極端に悪くなり
ました。かかりつけのクリニックで症状を訴えたら、大阪市内の病院
を紹介されました。すぐに通院・診断を受けたら「肺」と「心臓」に水が
溜まっていると言い、翌日の検査結果「肺がん」と告知されました。
この方の年令は60才、女性です。これまで喫煙暦は全くありません。
ただ夫が十数年前まで喫煙していたと言い、働いていた職場は喫煙者
が多く、いつもタバコの煙が漂っていたそうです。
では、タバコの副流煙が最大の原因なのか?と言うと、必ずしもそうだと
決めつけるわけには行かないと言います。
がん患者のうち男性は約7割が喫煙者、対して女性は2割が喫煙者で
あとの8割が、なぜがんになったかはわからないそうです。 ところが、
最近になって、女性が「肺がん」になる理由がわかったと言います。
それは「空気」と「女性であること」の二つだと言うのです。
「空気」には、色んな化学物質やウィルス・細菌を含んでいて、それが
原因になる・・と言うのが一つ、もう一の「女性であること」と言うのは、
女性ホルモンによって「肺がん」になるリスクが高くなると言うのです。
年初に発症した彼女の病因は、以上のすべてに該当するので、これが
原因・・と決めるものはありません。
いま「肺がん」は、がん死亡率のトップになりました。
また、「がん」は「DNA」が原因と言う人もいます。確かにある種の「がん」
は「DNA」が原因の一つ・・と言うのがあるそうですが、「がん」は誰でも
患う時代になりました。
「がん」はたしかに怖い病気ではありますが、早期に見つければ、大抵の
「がん」なら、治る治療法がいくらもあるし、完治できなくても治療しながら
社会生活ができるようになりました。からだの状態がすこしおかしい・・と
気づいたら、臆せず病院に行って診て貰うのが一番良い方法だと思います。
レシピ番外「肺がんの早期発見と、その治療法について」です
肺がんのことは、ある程度知っている・・との自負がありましたが、それはまったく的はずれな自負でした。
咳・タン・血タンや風邪症状が長引く・・などの症状がでたら「肺がん」を疑え・・でもそれは時代遅れでした。
肺がんの専門医を訪れる患者には、三つのグループがあると言います。
その1つは、自治体や企業の検診で、あやしいといわれて精密検査を受けに来る人たち。
二つ目は、胸が痛い、咳が出るなどの症状で検診を受け「肺がん」らしいといわれてくる人たち。
三つ目は、何かの病気をもって通院していて,咳・タンはないが検査でたまたま見つかった人たち。
この3つのグループで自覚症状があるのは二つ目の人たちだけで、あとの二つのグループには
自覚症状がまったく見られませんでした。ここが「肺がん」の恐ろしいところであります。
そのむかしは「肺がん」になったら助からない・・と聞いていて、数年前まではそれを信じていました。
でも今は、早期に発見すれば、いろんな治療法で全治できるようになりました(実例を知っております)。
早期発見なら手術か放射線治療で完治できる・・進んだときは放射線治療か化学療法=抗がん剤療法で、
治療を続ける、病状によっては、この二つを平行しながら治療をする方法もあります。
今はこの3つがどれも驚くほど進んでいて、手術できれば2人に1人は助かる、放射線治療が可能なら
全治も出来るほどになり、かなりの進行がんでも抗がん剤治療で5年も7年も社会生活しながら治療を
続けられる時代になっています。なかでも「放射線治療」は「粒子線治療」を含め、各段に進んでいます。
わが国ではこれまで、患者も主治医もがんが見つかったら、まず「手術」を考え、手術が出来ないときは、
放射線治療が行われてきました。
放射線治療は、全身への影響が少なく、大変有効ながん治療法なのに、放射線治療医が少ないことと、
患者側の「放射線は怖い」という偏見と無知から、欧米に比べこの治療を受ける患者が少ないそうです。
このように、格段に進んだ治療法があっても、早く治したいなら、早期発見が決め手になります。
早期発見に効果がある検査には二つの方法があり、ひとつは喀タン検査で喀痰細胞検診と言います。
もうひとつは単純な「レントゲン」ではなく「ヘリカルCT」という機械で撮ることです。この二つの検査では
非常に小さながんでも見つかる・・・単純なレントゲンですと影にかくれて見えにくい欠点があるそうです。
そのほかにも、検査方法がありますが、この二つの検査でほとんどが発見できると言います。
肺がんは、大別して4つに分けられますが、そのどれもが「喫煙」と関係があり、喫煙者よりも受動喫煙、
家族や、職場などでのタバコの副流煙のほうがリスクが高い・・・ということも案外と知られていません。
タバコの煙から出る発ガン物質は、がんによって差異はありますが、全てのがんの一大原因と言います。
調べでは、喫煙者が吸う主流煙に比べ、家族など非喫煙者が吸う副流煙のほうが、リスクが高く、
低いものでは3倍ですが、強力な発がん物質の「ニトロソアミン」は52倍に達すると報告されています。
なぜそうなるかと言うと、喫煙者はフィルターを通して、ある程度有毒物質を濾過するが、副流煙は低温で
フィルターを通過しないので、喫煙者より周囲の受動喫煙者のほうが何倍も高いリスクがあると言います。
紙面の都合で終わりにしますが、「肺がんの予防法」は、いまのところ「禁煙しか方策がない」といいます。
タバコを吸う方たちには、耳障りな「レシピ番外」になりましたが、ご容赦ください。
参考資料 よくわかる肺がん(西日本がん研究機構)・病気とからだの読本5(暮らしの手帖社)より