熊本熊的日常

日常生活についての雑記

玉堂美術館

2006年05月17日 | Weblog
朝、普段より早起きをして青梅に出かけた。御嶽駅で下車して徒歩5分もかからない場所に玉堂美術館がある。

渓流となっている多摩川沿いの遊歩道のような道に面して美術館が建っている。寺院のような風格で、敷地には石庭がある。建物も庭もそれぞれに美しいが、これらをひとまりにしてみると更に美しい。箱庭のようにも見えるが宇宙のようにも見える。

展示されている作品は晩年のものが多いようだ。若い頃の作品は何事かを描き出そうとする描き手の意欲が前面に出ているようだ。それに対し、晩年の作品は、風景のほうが描き手を通じて自己主張をしている。描き手は媒介者に徹し、無のような存在だ。

小さな自己へのこだわりに振り回されている限り、何事もなし得ないのだろう。宇宙の流れのようなものを見出し、そこに身を任せる快感に目覚めたとき、人は一皮むけた存在になるような気がする。そうした境地に至ることは稀なことだ。だからこそ、その境地を悟った人は芸術家や宗教者として貴重な存在足り得るのである。