日暮里駅で電車を降り、北口から坂道を登り、郵便ポストのある交差点を左折すると朝倉彫塑館がある。下宿屋のような佇まいだが、門から建物の間にブロンズ像が何点か置いてある。建物の入り口で靴を脱ぎ、入館料を払って中に入ると、息を飲む。高さ8.5mという高い天井のアトリエには、いくつもの作品が並ぶ。やってくる客を出迎えるように立つ「墓守」、二体一対となっている均整のとれた美しい若い女性の裸体像「明」と「暗」、タイトルは失念したが大きな犬が伏せている像も印象深い。ほかにも女性の裸体像「時の流れ」「三相」があるが、ブロンズとは思えない柔らかな線で、むしゃぶりつきたくなるほど美しかった。また、朝倉は猫好きだったとかで、アトリエのある建物の3階には猫の像だけ集めた部屋もある。好きな物に対する観察眼は特に鋭くなるものなのだろう。猫の像の間から窓の外を眺めようとしたとき、その猫が擦り寄ってくるような錯覚にとらわれた。
さらに奥には、湧水を利用して造った日本庭園がある。「五典の水庭」と名付けられたその庭は朝倉が自己反省の場として設計したものだそうだ。儒教の五常を象徴した仁・義・礼・智・信の五つの巨石が置かれている。ちなみに、この五常というのは、
仁も過ぎれば弱となる
義も過ぎれば頑となる
礼も過ぎれば諂となる
智も過ぎれば詐となる
信も過ぎれば損となる
ということだそうだ。
朝倉と交遊のあった芸術家からの手紙というのも展示されており、そのなかには川合玉堂からのものもあった。それを見つけた時、自分の行動が見えない糸のようなものに導かれているような感じがして、妙に嬉しかった。
さらに奥には、湧水を利用して造った日本庭園がある。「五典の水庭」と名付けられたその庭は朝倉が自己反省の場として設計したものだそうだ。儒教の五常を象徴した仁・義・礼・智・信の五つの巨石が置かれている。ちなみに、この五常というのは、
仁も過ぎれば弱となる
義も過ぎれば頑となる
礼も過ぎれば諂となる
智も過ぎれば詐となる
信も過ぎれば損となる
ということだそうだ。
朝倉と交遊のあった芸術家からの手紙というのも展示されており、そのなかには川合玉堂からのものもあった。それを見つけた時、自分の行動が見えない糸のようなものに導かれているような感じがして、妙に嬉しかった。