熊本熊的日常

日常生活についての雑記

遅桜

2009年04月16日 | Weblog
ソメイヨシノの花は殆ど散ってしまい、今は青葉が茂っている。それでも、よく見れば少しは花も残っている。枝によっては残った花と青々とした若葉が程良く混ざり合った趣深い姿になっている。

茶器の名物に「遅桜」という茶入がある。「金葉集」にある

夏山の青葉まじりのおそざくら 初花よりもめづらしきかな

という藤原盛房の歌をもとに、足利義政が名付けたのだそうだ。現在は三井文庫の所蔵となっており、ちょうど今、三井記念美術館で開催中の「三井家伝来 茶の湯の名器」という展覧会に出品されている。来週あたり観に行ってこようかと考えている。

今日は茶道の稽古があった。季節に合わせ、先生の着物の柄は「おそ桜」。軸や茶花、香、身につけるもの、あらゆるもので、その茶の席の主旨や世界観を表現するのが茶道だ。まだ今回が2回目の稽古なので、緊張感が勝っていて楽しむ余裕は無いのだが、ひとつひとつの説明に感心するばかりである。世に遊びというものもはいくらでもあるが、自分の教養や感性を総動員して相手を喜ばせることに心血を注ぐ遊びというのは、世界でも類を見ないのではなかろうか。

尤も、私の場合、茶事以前に、きちんと座るということから始めなければならない。無理に正座をする必要はないとは言われるのだが、やはり正座のほうが、所作がきれいに見えるような気がするのである。それでなるべく正座を続けるように心がけていた。すると、わずか2時間強の稽古のあいだに3回も足がつりそうになった。

戯れ言はさておき、茶の湯には以前から興味があったが、これほど面白いものだとは想像もしなかった。新しいことを始めるには歳を取り過ぎていることは承知しているが、遅桜にあやかり、少し本気で精進しようと考えている。