風の遊子(ゆうし)の楽がきノート

旅人を意味する遊子(ゆうし)のように、気ままに歩き、自己満足の域を出ない水彩画を描いたり、ちょっといい話を綴れたら・・・

楽書き雑記「第22回名古屋芸術大学大学院の修了制作展を見てきました」

2018-02-27 17:44:58 | アート・文化

ナゴヤドーム近くの名古屋市民ギャラリー矢田で、名古屋芸術大学大学院の第22回修了制作展を見てきました。
さすが大学院生の修了展。作品から、これからもアーティストの道を突き進んで行く、という強い意志を感じました。展覧会は3月4日まで。

出展者は美術研究科とデザイン研究科の計19人。ギャラリーの全展示室を使って研究の成果が展示されています。
まず、「同時代表現」を研究してきた女性の花の作品に引き込まれました。百日草が150号はあろうかと思われるキャンバスいっぱいに描かれています。
一般的な絵画展ではあまり見かけない作品ですが、僕はこの学生が百日草の一つ一つに話しかけるようにして描いた姿を想像しました。

作品紹介の子に目を通すと「対象から感じた印象を意識的に取り出し、画面の中に描いていく。絵具、色彩、描法を選び、印象に近づけていく」とありました。
仲間の女性が話してくれました。「彼女は自宅の庭で百日草を育て、時間をかけて一つ一つデッサンしています。じつにゆっくり、ゆったり。彼女の絵に向かう姿勢が羨ましくなります」

こうコメントしてくれた女性は「動物の絵をもう10年間描いてきた」といい、修了展も銅版画で描いた動物です。
紹介冊子には、ラスコーの洞窟の絵を引き合いに「(彼らは)動物の形を正確に描くことや、こぎれいにまとめようとしたのではなく、その者の存在を伝えている。私も彼らと同じように、生命の存在を見直し、動物を通して魂を描いていきたい」と。
僕も時々、東山動物園の仲間たちを描いていますが、動物に向き合う姿勢が気恥ずかしくなりました。

2体の女性の裸体人形にドキッとしました。「回生の苗床」と題する作品です。
紹介冊子には「私の姿をかたどった人形は、その苗床となり回生の時を待つのである」と。さらにセミなどに寄生した菌類からキノコが生えてくる冬虫夏草をモチーフにしたことに触れ、「私の死後も、私の魂が宿した人形たちが永遠に生き続ける」と結んでいます。

デザイン研究科の「線の点」と題する鉄と番線で制作した作品、百鬼夜行をモチーフに制作した現代絵巻などの力作も見ものです。