リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

ショッキングな訃報

2014年04月10日 | 日々の風の吹くまま
ショックだなあ。すごいショック。起きてテレビをつけて、真っ先に飛び込んで来たのがジム・
フレアティ急死のニュース。ハーパー政権誕生してから8年以上も財務大臣を務めて、つい
先日の予算発表後に黒字復帰のめどがついたと辞任したばかりだった。心臓発作だったら
しい。最近は「水泡性類天疱瘡」という自己免疫性の難病に罹って、ステロイド剤で治療を
しながら、ぐらつく世界経済の中でのカナダ経済の舵取りをして来ていた。無理をしていた
のかな、やっぱり。

議会では与野党のお決まりの罵詈雑言合戦には一切関わらず、質問には簡潔に答えるだ
け。リーマンショックのときは、躊躇する首相を説得して大規模な景気刺激策を打ち出して
危機を乗り越えた。そのときの大赤字は来年度で解消する見通しだったのに、それを見な
いで逝ってしまった。野党第一党のマルケア党首は涙で言葉に詰まり、冷たいと批判される
ハーパー首相も見るからに涙目。死去の報が入った連邦議会はすぐ休会になり、審議中の
下院では野党議員が続々と与党席の側に集まって、与党議員と肩を抱き合う光景がテレビ
に映っていた。目頭を拭っていた議員も多い。これだけ政治思想や主義の壁を超えて人望
を集めた政治家は珍しいだろうな。

フレアティは「小さな巨人」と見出しがついたくらい小柄(160センチ)な人だったけど、ホッ
ケー選手として奨学金を獲得してアメリカの名門プリンストン大学に留学した人で、長身の
ハーパー首相の傍にいても小さくは見えなかったな。いかにもアイリッシュという感じの人で、
オンタリオ州議会議員の奥さんと三つ子の息子がいて、家族思いで、友人に忠義な人だっ
たそうな。思慮深い保守主義と言われて、党の政策方針を覆す施策を打ち出しては結局そ
れが国としては最善の決断だったと評価されたことも何度もあったし、カナダにとってほんと
に惜しい人を亡くしたと思う。享年64歳。Requiescant in pace。

実直に生きて来た人が残っている時間を楽しもうというときに、突然時計が止まってしまう。
つくづく運命は不公平なものだと思う。でも、その不確実性が生きているものの運命なのか
もしれない。だからこそ、常に自分を失わず、周囲と折り合いをつけながら、自分の人生の
舵を取って行くしかないんだろうな。「人生は海図なき航海」と、心に留めて・・・。