【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

奏でる時代の物語

2012-09-19 16:51:51 | A・クリスティーの館






「何てスリルがあるんでしょう!」
こう言って夫人は、
青い陶器 のような色の目を
大きく見張って溜息をついた。



ポアロは白麻の背広を着込み、
ボタン穴に 白椿 を1輪挿していた。          
            【A・クリスティー作 「ブルートレイン殺人事件」】


   昨日の雨は上がりました。空には再び青い陶器の空。
  日射しがある分、随分暑く感じますが、30度を割っています。

   そう言えば、真夏と違って、
  お部屋の中に日光が入って来るようになりましたものね。
  その分、余計に暑く感じるのかも知れません。

   そして今日は、昼間からあちこちで虫の演奏会。
  「チッ、チッ、チッ・・」 「リリッ、リリ、リリッ~ッ」。
  夜の本番に備えて、早くも音合わせをしているのでしょうか・・。

   そうそう、性懲りもなく今日も又、
  青い陶器 の空”を引用させて頂きました。

   空ではありませんが、今度は、A・クリスティーの小説に
  “青い陶器” を発見。吉屋信子、三島由紀夫に次いで3人目です。

   作家って、“青い陶器” がお好きなのかしら・・?
  前2人は空でしたが、今度は瞳。
  どうやら澄んだものを表すのに、この言葉は打ってつけのようですね。

   もう1つ余談ですが、生花を挿す行為をポアロにも発見。
  それにしてもボタン穴に白椿ですか・・。しかし、お洒落ですね。




   さて、私が取り出したのは、またもや A・クリスティー。
  この本は、最初に帽子を選ぶ事から物語が始まっていて、
  帽子好きの私としては興味を覚えたものですから。

   クリスティーとなりますと、屋根裏部屋雰囲気の、
  セピア色の部屋がなぜか似合います。いいえ、落ち着くのです。

   アッ、その前に。松本清張作 「昭和史発掘2」 を。
  随分、時間がかかりましたが、今日中に読み終えるでしょう。

   折しも、竹島や尖閣問題が勃発しています。
  学校では昭和史なんて習いませんでしたもの。

   これはこれで大層面白く、全13巻、時間はかかっても
  読み終えるつもりです。しかも音読で。

   この音読にも慣れました。習うより慣れろですね。
  今ではスラ、スラ・・と。おまけに黙読よりも頭に入ります。
  歴史などは特にお勧めです。

   ~なんて。
  話があらぬ方向に飛んでしまいましたね。悪しからず。

   兎にも角にも A・クリスティーとは、
  これから交互に読んで行こうか・・と思っています。  

その日、クリスティー気分!?

2012-09-18 17:15:25 | A・クリスティーの館






ド・ラ・ロシュ伯爵は 香草の入ったオムレツ
ベアルン地方風のステーキに
ラム酒入りサラヴァンという昼食を
済ませたところだった。
上品な手つきでナプキンを使って
黒い美しい口髭くちひげぬぐうと、
伯爵は食卓から立ち上がった。
そして別荘のサロンの中を通り抜けながら、
辺りに何気なく置かれている
由緒ある品々を満足げに見やった。         
         【A・クリスティー作 「ブルートレイン殺人事件」】


                              【紫色の朝顔 「薩摩の紫(ゆかり)」】
   今日は朝から雨降りとなりました。
  尤も、降ったりやんだり。
  瞬間は、日射しも。

   それにしても昨日は1日中、
  エアコンのお世話に。

   今日は昨日に比べれば
  ましですが、少々、
  蒸し暑くなっています。

   そしてこちらは、もう一つの朝顔、
  紫色の 「薩摩の紫(ゆかり)」。

   今年初めての写真掲載ですが、
  青色の朝顔も日中には
  紫色からやがてピンクに
  なりますから、すっかり勘違い。

   早朝からこの色でしたのに。
  何だか申し訳ない気持ちで
  一杯です。




   さて雨、薄暗い室内、
  キャンドルとなりますと・・。

   既に私の中では英国。
  と言いますか、エッグマフィンを
  作りましたので、無理矢理にも
  「クリスティーの館」 に直行です。

   そうそう、急遽(きゅうきょ)、
  香草入りオムレツ
  作りました。

   マフィンと香草入りオムレツ
  だけで 「クリスティーの館」
  とは大層、大袈裟ですが、
  そこはご愛敬で。

   香草として、ローズマリーを
  散らして。中の具にはゴーヤを。

   しかしながら、これでは  
  (マフィンに1個、オムレツに2個)
  卵大量摂取となりますね。

   さて、さて。
  今日も 「想像の余地」 にどっぷり浸かっている私ですが、
  実は、上記のド・ラ・ロシュ伯爵は偽伯爵。

   由緒ある品々は伯爵の演技を引き立てるための、
  なくてはならない小道具だとか。
  彼も又、「想像の余地」 に遊んでいたのかも・・~なんて。

   そう言えば最近、友達になった、ご近所の方との会話。
  「あら、今からお出掛け・・?」

   バッチリお化粧して、アクセサリーも決めている彼女。
  「ううん、自分で色々楽しんでいるの。
  又、午後から着替えるわ」

   「そうよね~。楽しまなければ損よね~!」
  そんなこんなで。今日は私も 【例】 のフリルのブラウスにフリルのスカートで。
  因みに今の気分は・・・1900年代初頭? です。      

蘇る夏の煌き

2012-09-17 16:27:56 | 香る庭の花綴り





三色菫 と楓林の羊歯 しだを一杯挿しましょうね。
それから、あなたのあの3本の立派な ピンクの
ゼラニウム
をどこかに飾りたいんだけれど・・・
(中略)
花がまだ沢山残っていて良かったわ。
今年の夏くらい、
庭が美しかった事はないわね、スーザン。
でも、毎年、秋になると、
私、こう言うんだわね?」               
                   【「炉辺荘のアン」 第34章】


   朝から太陽燦々の
  空となりました。

   おまけに強い、
  台風風も吹いています。

   それは湿気を含んだ、
  生温かい風。

   昨日以上の
  暑さになっています。
  まさに盛夏並みの暑さです。

   そして、これも昨日以上の
  “青い陶器” の空には、綿菓子のような薄~~い雲が・・。
  はたまた・・その後、見上げた空には今度はひつじ雲。

   1頭、2頭・・・数えるのもそこそこにカメラを持って、
  二階に上がった時には、もう写真のような空になっていましたけれど。 



【続々と小さな来客】


   こんな風に俄かに
  夏に戻った今日。

   夏の花の象徴でもある、
  ハイビスカスが開花。

   出番とばかりに煌いて。
  しかも黄色と赤が同時に。
  かと思えば・・。

   例の公爵夫人の薔薇も。
  こちらは、いそいそと?
  より格調高く。

   それぞれの花が自分の存在を
  最大源に誇示し、主役の座を射止めんとしているかのようです。

   今日は、季節が後戻りして思いの外の暑さにたじたじですが、
  もう9月も半ばを過ぎているのですね。




   

可憐! 愛すべきハーブの花

2012-09-16 17:10:07 | ハーブと香り雑学



【花瓶に活けて】


・・・「気持ちのいい、親しみ深い、
良い匂い のする風ね」
とアンはエリザベスよりも
自分に話しかけるように言った。
「地中海沿岸を吹く西北の風に
ミストラル という名が付いているのよ。
その名から想像すると、今吹いている
こんな風ではないかと考えたものだわ。
地中海沿岸の風だというと、
そんなように聞こえるのですものね。
ところが、それは荒い、
不愉快な風だと分かった時、
どんなにがっかりしたか知れないわ!」  
              【「アンの幸福」 第3年目11.】


   今日も晴れの天気で明けました。
  ただ、昨日より風は相当強い気がします。

   庭の木々や葉っぱが大きく揺れて。しかも湿気を含んだ風。
  当然の如く気温も30度を越え随分、蒸し暑くなっています。
  これも台風の影響でしょうね、きっと。

   それにしても今日の風。
  引用文のように気持ちの良い、しかも良い香りであれば・・
  と、ついつい想像してしまいます。どんなに素敵でしょう。

   昨日も午後から雨が降りましたが、今日も先程、パラパラと。
  尤も、ほんの僅かな時間で上がり、今ではもう青空に。
  その空は、【青い陶器】 のように澄んでいます。

   その空には白い雲がポカン、ポカン。
  じっと見ていますと・・様々な物に姿を変え、
  見ているだけで飽きません。






   さてこの季節、庭では小さな花、ハーブの花が満開です。
  ステビア、セージ、ローズマリー等など・・。

   そうそうハーブではありませんが、露草も。
  露草は初夏のイメージがありますが、我家では今が盛り。

   随分、背丈も伸びて。(セージと同じ高さ)
  風に揺れるその姿は蝶が舞っているようで、なかなか風情があります。

   でも又々、蝶・・? そう 「青い蝶」 なんて、通り一遍ですね。
  (「蝶」 は使い古している事ですし) 
  今度は 「青い踊り子」 とでも呼びましょうか・・。

   その踊り子達は、夜には虫の演奏をバックに舞踏会なのでしょうね。
  やがて 「夢見る公爵夫人」 や 「白い貴婦人」 も登場して来て。勿論、会の主役。
  それにしても庭には 「想像の余地」、満載ですね。

そっと重ねて秋の色

2012-09-15 15:50:55 | 四季のスケッチ


【秋色に染まったゴーヤの葉と共に】





西日を透かした森には秋蝉の声がこもり、・・・
(中略)
沼へ深々と差し伸べた1本の枝から、
蜘蛛の糸でつるされた一葉の黄葉があって、
これが扇動する度に、
木洩れ日を受けて神聖に光った。
宙に1つのごくごく小さな
廻転扉がうかんでいるようだった。          
         【三島由紀夫作 「天人五衰」 『豊饒の海Ⅳ』】


   こちらは良いお天気になりました。
  それでも起床時には雨が降ったようで、
  庭の植物達も地面も濡れています。それもかなり降ったよう。

   今日は、つくつくほうしの声は聞こえません。
  代わりに昼間から虫の声が、しきり。
  何とも言えない風情がありますね。

   こんな風に記していましたら・・。
  いつの間にか雨がパラパラ・・。(15時頃)

   あんなに晴れていましたのに。
  相変わらず天候は、不安定なようです。
  でも今日は、すぐに上がりました。



【インウォールクラータ】


【羊歯(シダ)】


   さて、我家のゴーヤ。(冒頭の写真)
  まだまだ新芽も出て来ており、実も付けています。

   いつまでも続く残暑に、つい季節を忘れてしまいそうな昨今。
  それこそ辺り一面、萌葱(もえぎ)色一色に染めていた葉に、
  ポツポツと黄葉が目立って来ました。

   南側に植えたゴーヤは、東の小窓へと蔓(つる)を伸ばし、
  ぐるりとL字型に囲み、今度は2階へと。
  既に2階の屋根まで届いています。それは留まる事を知りません。

   それにしても近付く秋を、
  こんな風に静かで穏やかな色に、そっと重ねて知らせてくれる自然。
  時には牙を向けますが、まだまだ捨てたものではありません。

    


【ゴーヤの葉】


【インウォールクラータの葉】

想いを馳せて・・城下町

2012-09-14 16:25:56 | 『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』編






・・・チョコレートを飲むと
茶碗を盆の中央にきちんと置き、
ポアロはジョージにというよりは
独り言のように呟いた。
栗鼠りす木の実 を集める動物でね。
後々のために秋のうちに沢山蓄えて置く。
世の中で成功するには、
動物から教訓を学ぶ事が必要だ。
私はいつもそうして来た。
私はある時はねずみの穴を見張る猫になった。
ある時は臭跡しゅうせきをひたすら追う犬になった。
(中略)
私はしばしば栗鼠になって、
小さな事実をこっちで集め、あっちで拾いという
具合に私なりに 木の実 を集めて来たのさ。
その上で私は貯蔵庫に行き、
特別の木の実を取り出す――         
         【A・クリスティー作 「ブルートレイン殺人事件」】


   こんな薄紫色の
  空で明けた今朝。

   午前中は良いお天気
  だったのですが、
  午後になって俄かに夕立。
  雷は鳴りません。

   そう言えば南の海上には
  超大型台風(16号)が
  居座っているようですね。

   今日は夕立が来ても
  あまり涼しくはなりません。
  これは台風の影響でしょうか・・。     





     さて、昨日まで長々と津和野の記事を書いて来た私。
    しかしながら  【前回】、唯一の心残りだったのは、
    時間がなくて萩焼会館へ行けなかった事。

     そんなこんなで。
    一路、50km先の 「萩焼会館」 に行く事にしました。
    それにしてもかなりの弾丸ドライブ? ですね。

   今日は、そこで買い求めた
  珈琲カップもありますし、
  久し振りに好物のお菓子、
  山口銘菓 「月でひろった卵」
  もあります。

   およそ10日振りですね。
  『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』
  開店と致しましょう。

   いいえ、今日だけは昨日の
  津和野の古美術喫茶、 
  「木の実」 をイメージして。

   ~なんて。
  こじつけもいい所ですけれど。

   ところで、この萩焼会館。
  私の中では益子焼や立杭焼等の
  共販センター的なものを思い描いていました。

   窯元ですから、市販よりもリーズナブルな値段で、
  壺やカップ等、雑然と・・所狭しと並べられていて。

   そして当然の事ながら、そこは、
  多くの買物客で混雑している・・。ところが・・実際は大違い。

   広~~~い店内に、だ~~れもいません。店員さんだけ。
  尤も、駐車場にあまり車が止まっていませんでしたので、
  予想出来た事ですが・・。(関係車両だったのですね)

   自動ドアを入った途端に、一斉に 「いらっしゃいませ~!」
  瞬間、“しまった・・” と思いながら・・
  それでも従姉と私とで珈琲カップを1客ずつ求め、お店を後にしました。

   そう言えば、有田焼のお店がそうでしたっけ。
  そこはもっと豪華で、価格も一ケタ違っていたものですが。

   写真のカップが萩焼のそれですが、
  兎にも角にも、たっぷり頂けるので気に入っています。           

時代が交差する町

2012-09-13 15:57:07 | 旅気分・夢気分



【「平成21年を持ちまして閉店致しました。
 長らくの御愛顧有り難うございました」 の貼り紙が・・】



   今日も引き続き好天に恵まれています。
  まだまだ日中は暑いけれど、毎朝眺める東の空は、
  通り一辺の夏空から趣きのある秋空に変わりつつあります。

   この暑さも、もう少しの辛抱ですね。
  でも朝晩は随分、しのぎやすくなりました。









【伝統に培われたお店の数々】


   さて、今日も昨日の続きです。
  昨日も記しましたが、さすがに小京都津和野と
  言われるだけあって、しっとりと落ち着きのある町並みです。

   伝統に培(つちか)われた格調高いお店や、
  趣きのある喫茶店が目を引きます。

   粋を凝らした格子戸(あるいは硝子戸)や鴨居に
  当時の面影を感じ、ここだけは時の流れさえも穏やかに感じます。

   ノスタルジックな和の佇まいに、
  無造作に置かれた茶色の土物の壺が何としっくり来るのでしょう。

   建物は、ほとんどが重要無形文化財に指定されています。
  今の時代、維持管理も大変でしょうね。








   こちらは呉服店。店構えからも相当なお店だった事が分かります。
  当時は、津和野藩御用達(ごようたし)のお店だったのでしょう。きっと。

   お店は現在も営業中です。しかも純然たる呉服店。
  着物を着なくなった昨今ですが、このように頑張っているお店があるのですね。

   そうそう津和野藩と言えば、4万3千石の亀井家。
  亀井家と言えば、衆院議員の亀井亜紀子氏(島根選挙区)が浮かびます。

   調べてみましたら、やはり何らかの繋がりがあるようです。
  世が世なら彼女は、お姫様なのですね。





【趣きのある喫茶店】


タイムスリップした町

2012-09-12 16:50:26 | 旅気分・夢気分

【太皷谷稲荷神社】


【奥には 「津和野町教育委員会」 の看板が・・】





    久し振りの快晴。
  気持ちの良い
  朝を迎えました。

   今朝に至っては最早、
  “秋晴れ” の様相。

   ただ、やはりと言いますか、
  日中は暑くなりました。
  でも、カラッとした暑さ。

   こんな暑さなら
  十分、我慢出来るというものです。

   いつの頃からかクマゼミに取って代わった、つくつくぼうし。
  このつくつくぼうし、最後に 「ヨイシャ~ッ、ヨイシャ~ッ」
  と言って鳴き終わります。(私にはそのように)

   それが何ともユーモラスで、思わず笑ってしまいます。
  でも・・私って、何をしているんだか・・。











【津和野カトリック教会】


【初夏には菖蒲の花が咲き乱れるお堀端】





    さて、昨日の続き。
  叔母の家から一路、津和野へ。
  およそ2時間かけて到着。

   津和野はずっと以前に
  訪れた事があります。

   しかしながら断片的には
  覚えているものの、
  その当時の記憶は
  すっぽり抜け落ちています。

   津和野の町を一言で
  言うならば、「懐かしさに
  包まれた町」 でしょうか・・。

   昔ながらの古い町並みは、
  ほっと一息付けるような
  リラックスした優しい空間。

   伝統を大切にし、
  後世に伝えながら生き抜いた町。

   森閑としていて、
  そこだけ時間が止まったかのよう。

   何より目を引いたのは、家のそこかしこに、
  いとも無造作に置いてある、壺の数々。

   壺大好きな私などは、もうたまりません。
  思わず釘付けに。

   ただ、ここでも人影まばら。
  尤も夏休み明けのウィークデイ、
  シーズンオフのせいもあるのでしょうけれど。
  






【風情のある茶店風のお食事処】


   


   そうそう、もう1つ目を引いたのは喫茶店の多さ。
  つい先日、喫茶店の減少を嘆いていた私でしたが、
  ここではどうやら無縁のようです。  ~明日に続きます。

そこは癒し 「鏡の海」

2012-09-11 15:40:35 | 旅気分・夢気分







【煌く鏡の海~瀬戸内海(室津半島)】


   



   こちらは今日も天候、不安定な状態になっています。
  パラ、パラと雨が落ちたかと思えば、今度は太陽。はたまた翳り・・。
  それでも午後になってからは少しずつ回復しているようです。

   ところで仲良しの従姉から 「山口に行かない?」
  と声を掛けられたのは、つい1週間前の事。

   そう言えば・・恒例の山口詣で? 
  も、今年になってからはまだ1度もしていませんでしたっけ。

   おまけに猛暑のせいもあって、
  殊更、家の中にばかり引っ込んでいるだけの最近の私。
  “それでは・・” とすっかり重くなった腰を上げたという訳です。

   車は勿論、私の愛車で。
  この車、たまに長距離こそ走るものの、普段はほとんど乗りませんから、
  年数の割には全走行距離は、まだ2万kmちょっと。車もピカピカ☆

   相変わらずの性能の良さですし、今の所、全くの不自由なし。
  車は快調そのものです。特別の愛着もあって、なかなか手放せません。

   2人で交互に運転すれば良いと思っていましたが、
  やはりと言いますか・・従姉はスポーツカーには
  不慣れという事で、ほとんど私が運転する羽目に。

   ただ今回、行きは慣れた山陽道でしたからスイスイでしたが、
  帰りは中国道を。(萩、津和野に行きましたので)
  聞きしに勝る、アップダウンとカーブの連続で正直、疲れました。

   おまけに車はほとんど見掛けず、道路は独り占め状態。
  初めのうちこそ喜んでいたのですが、
  日が暮れ始めると、さすがに無気味感も。

   SAですら、人影まばら。
  途中、山陽道に乗り換えれば良かったのですが、
  ガソリン給油の関係で、それもならず。それと言いますのも・・。

   やはり利用者が少ないせいなのでしょうね、
  ガソリンを入れようと思っていた SA が、いつの間にか PA に格下げに
  なっており、肝心のスタンドが閉鎖されているではありませんか。

   そんなこんなで、残り少ないガソリンを横目にそのまま走る事に。
  次の SA にまで何とか辿り着き、ガソリンスタンドの明りを見た時の喜び。
  神様、仏様にも思えたものです。

   私の不注意とは言え、こんな経験は初めてです。
  今回も2日間で1.146kmの走行。我ながら良く走ったものです。



【宮島SAから望む瀬戸内海】


   それにしても、A・クリスティーの、
  ブルートレインの旅とは何という違いでしょう。
  距離的には遥かに遠いのに、つい近くの家に行く感覚。

   便利さの恩恵は、それこそ数限りなくありますが、
  「旅情」 なんて言葉は、死語になりつつあるのかも知れませんね。
  少なくとも国内においては。

   それでも・・空のせいで真っ青な海という訳には行きませんでしたが、
  そこに浮かぶ大小様々な島と鏡のように穏やかな瀬戸の海に癒されました。
  ~明日に続きます。

旅に結ぶ夢

2012-09-08 17:51:17 | A・クリスティーの館






「列車って無情なものだと思うわ。
そうお思いにならない、ポアロさん?
乗客が死のうが、殺されようが、
平然と走り続けているんですもの」
(中略)
「ええ、分かりますよ。
人生も列車のようなものです、マドモアゼル。
何が起ころうと止まらずに続いて行くのです。
又それでいいのですよ」
「なぜ?」
「列車はついには 旅路の果て に達します。
お国のことわざにもありましょう、マドモアゼル?」
「“旅路の果てに恋が待つ?”」
レノックスが笑った。         
        【A・クリスティー作 「ブルートレイン殺人事件」】


   今日の天気は曇り、時々雨。
  雨こそ降ってはいないものの、少々、不安定な天気になっています。

   おまけにジト~ッと纏わりつくような蒸し暑さ。
  気温はそれ程高くないのですが・・。






   さて、つい2、3日前になりますが、
  A・クリスティー著 「ブルートレイン殺人事件」、読了。

   読み始めたのは、もう随分前になりますが、
  暫(しばら)く放ったらかし。

   その後、再び読み始めたのですが、もう夢中。
  それからは、一気に読み進めました。

   A・クリスティーですから勿論、ミステリー。(ポアロ物) 
  でも、何だかいつもと様相が違います。
  文中の会話や描写に思わず引き付けられ・・。

   もう一方の ミス・マープル物 では、さすがに女性の視点から
  編物、料理、植物(ハーブ)など、取り上げている事が多く、
  興味を持っていたものですが、ポアロ物にまでとは。兎にも角にも嬉しい誤算。

   ところで 「旅に結ぶ夢」 と言えば、やはり列車の旅でしょうか。
  その中でも 「ブルートレイン」 は、格別ですね。
  今では随分、少なくなりましたが・・。

   そして列車と言えば、何と言っても今日のA・クリスティーですね。
  「オリエント急行殺人事件」 「パディントン発4時50分」 など、
  多くの作品があります。

   この作品も、リヴィエラ行き豪華特急ブルートレインの中で
  殺人事件が起こります。ルビーの宝石も絡んで。

   相も変わらず意外な犯人。ようするに1番犯人らしくない人間。
  そういう意味で目星を付けていた人間が犯人でした。

   それにしてもこの作品ばかりは、殺人事件も然(さ)る事ながら、
  同時に 「恋愛講座」 も開設しているかのよう。
  上記を初めとしてポアロの含蓄(がんちく)ある言葉が響きます。

   紐解けば、この作品を書いた時のクリスティー自身が、
  人生の1番辛い時期であったとか。

   そんな事は微塵(みじん)も感じさせない軽快な文章ですが、
  この作品の至る所に散りばめられている言葉は、
  女史自身の心の声かも知れません。
  

「私はこれでも様々な経験をして来た男です。
人生については2つの事が言えます。
1つは良い男が良くない女に対する愛ゆえに
やはりたまさか身を滅ぼすという事」
キャサリンはハッとしたように顔を上げた。
(中略)
「彼らには、女心に訴える資質があるのです ――
無軌道さ、大胆さ、勇気」
(中略)
「泥棒を愛する事は出来るでしょう。
しかし殺人者を愛してはいけませんな」
          【A・クリスティー著 「ブルートレイン殺人事件」】