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「私的五連休」中日の昨日。
前々から予約していた
贔屓の懐石店で
早春の「極みコース」を
賞味してきた。
*
先付けは、
北寄の「貝焼」。
丸々ニケ分が
ゆり根、銀杏とともに
天火で焼かれて供された。
その身肉の甘さもさることながら、
したたり満ちたエキスの汁の
旨かったのなんの・・・。
*
八寸は、
トリュフが散らされた
アワビの柔らか煮。
羽二重餅で覆った
豚の角煮。
走りのフキノトウと
タラノメの天婦羅。
そして、
小袖稲荷。
思わず、
“迷い箸”になりそうな
眼にも楽し気な
盛り合わせだった。
*
懐石のハイライト
「椀刺し」の
煮物碗には
フグの焼き白子をメインとした
卸し仕立てだった。
いつに変わらぬ
吸い地の美味しさに
安堵と満足を感じさせられた。
*
お造りには、
厚切りのフグの焼き霜造りが
酢橘を挟んで供された。
分葱とともに
ポン酢でやると、
その昔、大阪は宗右衛門町の
河豚料理店で味わった
ぶつ切りの鉄刺(てっさ)を
彷彿させられた。
大衆河豚料理店の
『ふぐ政』でも、
よく食べた身皮の部分も
独特の歯応えが楽しめた。
蕩ける味わいの
紋甲イカと
キトキトの真鯛は、
ウニと合わせ
本山葵を効かせて食した。
大トリは
シビの大トロ。
*
強肴(しいざかな)には、
吉次の煮つけ。
脂ののった身肉を
甘辛の煮汁につけながら
切り柚子とともに頂く。
白飯があれば、
極上の「煮魚定食」になったろう(笑)。
*
続いては
牛ヘレのローストに
葛でトロミのついた
ヴァルサミコ餡。
平らなプレートにドレッセしたら
立派なフレンチにも見えるような
ヴィアン・ロゼの火入れ加減だった。
*
〆のご飯は、
自家製カラスミの茶漬け。
“ひつまぶし”風に、
最初はカラスミと白飯をやり、
そのあとに茶漬けにした。
一番出汁に緑茶を合わせた汁が
ことのほか美味だった。
*
主菓子は、
マスカルポーネを控えめにした
和風ティラミスで、
そのはんなりした甘味が
舌先に残ったところに、
香り高い“お薄”が
爽やかに清めてくれた。
*
至高の素材と
料理長の究極の技をもっての
九品の逸品の数々であった。
口福と心福のうちに
ひと時半を過ごせた幸福をも
味わう一日となった。
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