『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

東日本大震災五年慰霊祭 講 演 3

2022-12-10 07:54:33 | 社会問題

                     

 あの震災から早いもので、五年の歳月が経とうとしています。
 もう五年も経ってしまった…とも、まだ五年しか経っていない…とも、思いますが、ともすると、被災地の人間である私達でさえ、日常生活の中では、あの震災のことを忘れる日も多くなってきているのが実情です。


 3・11は、人類史上、未曾有の「超」巨大地震、「超」巨大津波でありましたが、このフクシマの地に於きましては、これもまた人類史上、未曾有の原発大事故という惨事に遭遇しまして、私たちは同時に、三つもの複合災害を体験致しました。
 しかも、フクシマ原発の廃炉作業は、遅々として進まず、溶け落ちた百トン以上もの「核燃料の残骸」の行方は、五年経った今でも、杳として分からない、という大変に深刻な現状もございます。
 

 恐ろしいことに、国際原子力機関IAEAは、この、今も冷温停止しておらず、絶え間なく冷却作業を欠かせない、数千℃もある高温化した「核燃料の残骸(デブリ)」が、もし、格納容器下のコンクリートを突き抜けたら、 地下水流と岩盤層が中性子の反射装置となって、ウランやプルトニウムが連鎖的に核分裂する「再臨界」を起こし、その崩壊熱で水蒸気爆発が起こり、 新たに膨大な放射性物質が地上へ拡散される「最悪のシナリオ」がある、という警告を発しています。
 

 一九九九年に起こりました、東海村での「臨界事故」では、たった三キログラムほどのウラン化合物の連鎖分裂で、半径十キロメートル圏内の住民約三十万人が、屋内退避を致しました。
 もし、フクシマ原発の百トン以上もの、今尚、制御不能下にある「核燃料の残骸」が、IAEAが予見したような「再臨界」を起こせば、 日本どころか、それは地球規模の「超巨大」原子力災害が、人類に振り掛かることになります。
 それは、決して絵空事ではなく、今日、明日にも起こる危険性があるわけです。
 

 それゆえ、 フクシマ原発事故は、未だに終息していないどころか、更なる、大いなる、危険性と隣り合わせでいる、というのが現状なのです。
 この事実を、国際原子力機関から突きつけられている「今、現在」、フクシマのみならず、日本中、いや、世界中の人々が、人類の叡智を結集させて、この危険的状況の収束に真剣に立ち向かわなければならないのです。
 そして、私達は、今後四十年はかかるだろうという廃炉作業が、確実に、無事に進捗するように祈らねばなりません。

 

 ご承知のように、東京オリンピックの招致活動のプレゼンテーションで、安部総理は、
「原発はアンダー・コントロールにあります」
 …つまり、「制御できています…」と、世界に向けて、大々的に公言致しました。
 しかし、実情はどうでしょう。
 今、現在、「核燃料の残骸」の実態が全くつかめていないだけではなく、膨大な数量の汚染水タンクから汚染水は漏れ出てくるわ、汚染された地下水は容赦なく海に流れ込むわ、周辺道路の放射線量は上昇しているわ…という有様で、「アンダー・コントロール」どころか「制御不能状態」の「アウト・オブ・コントロール」そのものです。
 冷静に考えるだに、恐ろしい事です。
 
 私たちフクシマの人間は、五年前に、原発が爆発し、屋内退避を強いられました。あの時、二時間屋外にいると、レントゲン検査を一回受けるのと同程度の五十マイクロ・シーベルトという放射線被曝をしてしまう…というような、この平和な世の中で、考えられないような放射能汚染が起こりました。
 その汚染状況が長引けば、屋外に出る事もままならず、私は生まれて初めて、「餓死・衰弱死」を覚悟しました。

 さて、話題を変えますが…
 原発爆発から四年後の二〇一五年三月のデータでは、原発関連死が千二百三十二人とのことでした。当然ながら、現在では、さらにそれ以上の数になっていることでしょう。この中には、「原発自殺」とでも言いたいような、お気の毒な方々が、百数十名もおられます。私の親しかった知人も、そのうちの一人です。
  

 また、NHKをはじめ各報道機関によって、フクシマ県内での小児甲状腺癌が急増している、という禍々しいニュースが報じられております。二〇一五年八月の時点で、十八歳以下の三十万人を検査して、九十八人の陽性・疑陽性があったらしく、小児甲状腺癌の自然発症率は百万人に一人と言われていますから、単純計算すれば、三十万人には0・三人でなければならないのですが、これが九十八人というのですから、三百二十六倍も統計的に高い数値ということになるんですね。
 したがって、誰が見ても、被爆による発症と考えるのが妥当なはずではないでしょうか。
 しかし、専門医や行政担当を含む、県の調査検討委員会では、放射性ヨウ素被爆との関連データが少なくて、詳細を分析検討中と慎重な姿勢を見せています。
 今後、時が経つにつれ、発症数が増加するだろうことは、火を見るよりも明らかじゃないでしょうか。
 これも「極めて異常で、深刻な事態だ!」
 と、どうして声高に宣言しないのでしょうか。不思議でなりません。パニックが起こることを危惧しているのでしょうか。現に、  五万人もの人たちが、今もって県外で避難生活をしているのが現状なのです。
 我が家の息子ふたりも、中三と高三で被曝しましたので、3・11来、毎年、戦々恐々として甲状腺検査を受けております。これは、彼らが、生涯にわたって続けていかなければならないのです。
 このような事実を、電力会社や国や原発推進者の方々は、一体どう思っているのか、人の親として、腹立たしくもあります。これでも、原発推進、原発輸出…と、経済最優先で国策を進めていくのでしょうか。
 

     

 

 

 


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