石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

(復刻)ボルネオ便り(第4信)

2015-11-04 | その他

*本稿は筆者が1990年から1992年までマレーシアのボルネオ(サラワク州ミリ市)で石油開発のため駐在した時期に思いつくままをワープロで書き綴り日本の友人達に送ったエッセイです。四半世紀前のジャングルに囲まれた東南アジアの片田舎の様子とそこから見た当時の国際環境についてのレポートをここに復刻させていただきます。

第4信(1990年10月)
  現代は情報の時代と言われ、TVや新聞で世界中の出来事が時々刻々報道されています。最近はとりわけイラク問題が連日ニュースに取り上げられ、日本人を含む人質の安否が気遣われています。実は私の会社(アラビア石油)は30年以上も中東で石油の生産を続けており、クウェイトにも事務所を持っていたため、数人の社員が今なおイラクの人質となっています。石油生産現場はクウェイト国境から数十KM離れたサウジアラビア領内のカフジと言う街にあり、今も紛争勃発前と同じ規模の生産を続けていますが、一刻も早く事態が解決し、安心して操業できる日が来ることを願って止みません。

 ボルネオでTVの世界ニュースが見られるのか、等と言わないでください。ここではマレーシア2局と隣国ブルネイ1局のTVを見ることができます。7チャンネルで、しかもオールナイト局もある東京には比ぶべくもありませんが、人間の目は二つあっても、どうせ一度に1局しか見られないのですから、大した違いでは無いと勝手に納得しています。

 TVは全て国営放送ですが、自動車、家電、化粧品等のコマーシャルもあります。宣伝のほとんどは日本及び欧米からの輸入品、あるいはライセンス生産の商品ですから、CMはさながら日本対欧米の宣伝合戦の様相を呈しています。今、マレーシアは東南アジアの優等生として、かつての日本の高度成長期のような状況にあり、CMにもその影響が強く表れています。「明日という字は、明るい日と書くのネ」と言う歌詞そのままに、未来は限りなく明るく、豊かな消費生活への願望が溢れています。

 そのような典型的なCMの一つをご紹介しましょう。
 競走馬のラップタイムを測る青年実業家(もちろん凛々しい美男子です)。突然、調教師が携帯電話を持って走り寄ってきます。電話で何事かを話し込むと、彼はすぐにスポーツカーを運転し空港に駆けつけます。場面は替わって大都会の事務所での緊急会議。激論を経て、彼は自身に満ちたポーズで決断を下し、そして最後は、顧客と商談成立の握手を交わす場面で終わります。得意満面の青年実業家の側には美人の秘書が寄り添い、彼を頼もしげに見つめているのです。

 今の日本ではクサイ芝居だと笑いものでしょうが、CMはその時代の大衆の願望や心理を忠実に反映していますから、このCMは現在のマレーシアの一面を象徴していると思って間違いないでしょう。

 ところでこのCMのスポンサーは誰だと思われますか。実は英国の有名な喫煙具メーカーなのです。ここミリで働く英国人の話では、このメーカーは母国での嫌煙運動による業績不振を挽回するため、東南アジアに販売攻勢をかけているそうです。なお、CMに喫煙シーンはありませんでしたので念のため。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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