(注)本速報は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0360OilMajor2015-3rdQtr.pdf
1. 五社の7-9月期業績比較(続き)
(2)利益
(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-26.pdf参照)
ExxonMobilの期間利益は42億ドル、前年同期(81億ドル)から半減している。ExxonMobil以外の4社の利益はさらに悪くChevronは64%減の20億ドル、Totalも7割減の11億ドルにとどまっている。さらに悪いのがBPで、同社の利益額は4,600万ドル、前年同期の13億ドルの30分の1である。そして5社のうちShellは昨年同期の利益45億ドルから一転して今期は74億ドルと言う大幅な欠損を計上している。BGの買収が当面の財務状況を悪化させており、アラスカ、カナダオイルサンドなどの開発事業を中断し、従業員の7%をリストラするなど 経営の先行きに赤信号がともっている。またBPは2010年のメキシコ湾原油流出事故の賠償問題が現在も糸を引いており前期の欠損58億ドルに続き今期も水面すれすれの利益水準にとどまっている。
国際石油企業の利益構造はこれまで利益の大半を原油・天然ガスの生産(上流部門)で稼ぎ、精製、石油化学など(下流部門)の低収益を補うという構図であったが、昨年後半以降の原油価格の大幅な下落により収益構造が様変わりしている。即ち上流部門の利益が急減する一方、精製、石油化学部門は原料の原油・天然ガス価格が急落したため利益の出る体質に変化したのである。
因みにChevronの場合、今期の上流部門の利益は6千万ドルに対し下流部門のそれは22億ドルと圧倒的に下流部門の利益が大きい。ExxonMobilも上流・下流部門の利益はそれぞれ14億ドル、33億ドルであり、BP、Totalも同様の傾向である。Shellの場合は上流部門は4億ドルの赤字で、下流部門は26億ドルの黒字である。
(3)売上高利益率
(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-27.pdf参照)
売上高利益率はExxonMobilが6.3%と最も高く、Chevronが5.9%で続いている。TotalはChevronの2分の1の2.7%にとどまり、BPの利益率は0.1%である。大幅な赤字決算となったShellの売上高利益率はマイナス11%である。
(続く)
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