石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

ExxonMobil、BP、Shell3社は損失計上:五大国際石油企業2020年1-3月期決算速報 (2)

2020-05-11 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0502OilMajor2020-1stQtr.pdf

 

1. 五社の1-3月期業績比較(続き)
(堅実なChevron、大幅な赤字のBP!)
(1)総合利益 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
BP、ExxonMobil及びShellの3社は損失を計上しており、Totalもごくわずかな利益にとどまっている。五社の中ではChevron のみが36億ドルの利益を出し、しかも前年同期比で36%の増益決算である。各社とも売り上げが二桁の減収であったが(上記参照)、利益面では前年同期がいずれも20~60億ドルの利益を計上しており五社の明暗がはっきりと出ている。

Totalの利益は3,400万ドルにとどまり、前年同期比99%の減益である。Shellは前年同期に5社で最も多い60億ドルの利益を計上したが、今期は2,400万ドルのマイナスである。ExxonMobilは前年同期の24億ドルの黒字から今期は6億ドルの赤字に転落している。損失額が最も大きかったのはBPの▲44億ドルであり、その額は5社の中で飛びぬけて大きい。

(上流部門は対前年同期比で全社減益!)
(2)上流部門と下流部門の利益
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56.pdf及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-57.pdf参照)
利益を上流部門(石油・天然ガスの開発生産分野)と下流部門(石油精製および製品販売分野)に分けて比較すると、まず上流部門は5社いずれもが前年同期を下回っているが、今期マイナスとなったのはShell1社のみでその他4社は利益を確保している。利益が最も多かったのはChevron(29億ドル)であり、前年同期(31億ドル)をわずかに下回っている。これに続くのがBP(19億ドル)であるが、同社の場合は前年同期比の6割の水準にとどまっている。このほかTotalは前年比2分の1以下の7億ドル、ExxonMobilは5分の1の5億ドルであった。Shellは5社中ただ1社9億ドルの赤字を計上している。

一方下流部門の利益が最も多かったのはShell(22億ドル)で前年同期比ではほぼ倍増している。これに次ぐChevronは11億ドルの利益を計上、同社は上流部門及び下流部門双方で好決算を出している。BP及びTotalはそれぞれ9億ドル、4億ドルの利益を出しているが、前年同期に比べるといずれも半減している。ExxonMobilは5社の中で唯一6億ドルの欠損を出している。同社は前年同期もマイナスであり、今期はその額が2.4倍に増加している。

なお上記(2)総合損益は各社によって石油化学品部門あるいはその他の損益を含むため上・下流部門の利益の合計額とは一致しないケースがある。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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石油と中東のニュース(5月11日)

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(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil
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