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http://mylibrary.maeda1.jp/0502OilMajor2020-1stQtr.pdf
2.2019年第1四半期以降の四半期別業績の推移
五社の売上高、利益(全体、上流部門および下流部門)、設備投資、原油・天然ガス生産量に関する2019年1-3月期以降今期までの四半期ごとの業績推移は以下の通りである。
(1) 売上高の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)
2019年第1四半期から2020年第1四半期に至る四半期ベースの売上高の推移を見ると、原油価格とほぼ連動して売り上げが上下している。昨年第1四半期の売上はShellが 857億ドルであり、BPの663億ドルあるいはExxonMobilの636億ドルと約200億ドルの差があった。第4位はTotal(512億ドル)で、もっとも売り上げが少なかったのはChevron(352億ドル)であった。その後、第4四半期までは各社の売上格差に大きな変動はなかったが、Shellは昨年2四半期以降3期連続で売り上げが減少したため、他社との格差が縮小している。特に今年第1四半期のShellの落ち込みが激しく、1年前の7割の610億ドルにとどまっている。その結果、BPとの差はほとんどなくなりExxonMobilとの差も1割に縮まっている。
売上高が4位のTotalは512億ドル(’19 1st Qtr)→512億ドル(2nd Qtr)→486億ドル(3rd Qtr)→493億ドル(4th Qtr)→439億ドル(’20 1st Qtr)と推移し、また売上が最も少ないChevronは352億ドル(’19 1st Qtr)→389億ドル(2nd Qtr)→361億ドル(3rd Qtr)→364億ドル(4th Qtr)→315億ドル(’20 1st Qtr)と300億ドル台を推移している。
この間のBrent原油の四半期平均価格(1バレル当たり)の変動をShellの決算資料で見ると63.13ドル(’19 1st Qtr)→68.86ドル(2nd Qtr)→62.00ドル(3rd Qtr)→63.08ドル(4th Qtr)→62.00ドル(’20 1st Qtr)であり、昨年第2四半期に68ドルに高騰したが、その他の四半期は62~3ドル台で推移している。
(2)利益の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)
過去1年間の四半期ごとの利益水準は各社とも大きく変動している。昨年第1四半期及び第2四半期は各社とも利益を計上していたが、第3四半期以降は一部の会社に欠損が出始めるなど利益の減少傾向が見られ、特に今年第1四半期は5社中3社でマイナス決算を余儀なくされている。
昨年第1四半期はShellが60億ドルの利益を計上したほかは、4社は30億ドル前後の利益でほぼ並んでいた。第2四半期にはShellが減益となり、Chevronと首位が入れ替わった。しかし第3四半期にはShellが再び利益59億ドルでトップを奪い返している。第4四半期になるとExxonMobilが利益トップになる一方、Chevronは66億ドルの損失を計上している。ところが今期(2020年第1四半期)は他社が軒並み欠損となったが、Chevronだけは前期から急速に業績を回復、36億ドルの利益を出している。
このように過去1年間の国際石油企業の業績は四半期ごとにトップが入れ替わる目まぐるしさであった。その一方でBPは昨年から業績の悪化が止まらず、昨年第3四半期以降は水面下にとどまっている状況である。
(3)売上高利益率の推移
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-63.pdf 参照)
1年前の昨年第一四半期の五社の利益率はChevronが7.5%と最も高く、次いでShell 7.0%、Total 6.1%、BP 4.4%と続き、ExxonMobilは最も低い3.7%にとどまっている。Chevronは前期(19年第4四半期)に▲18.2%と大幅に落ち込んだが、それ以外は5社の中で最も高い利益率を示している。
ExxonMobil、ShellおよびTotalの利益率の推移はそれぞれ3.7%(’19 1st Qtr)→4.5%(2nd Qtr)→4.9%(3rd Qtr)→8.5%(4th Qtr)→▲1.1%(’20 1st Qtr)、7.0%(’19 1st Qtr)→3.3%(2nd Qtr)→6.6%(3rd Qtr)→1.1%(4th Qtr)→0.0%(’20 1st Qtr)及び6.1%(’19 1st Qtr)→5.4%(2nd Qtr)→5.8%(3rd Qtr)→5.3%(4th Qtr)→0.1%(’20 1st Qtr)であり、昨年第4四半期以外は3社の利益率は並んでいる。
5社の中で利益水準が最も低いのはBPであり各四半期の利益率は4.4%(’19 1st Qtr)→2.5%(2nd Qtr)→▲1.1%(3rd Qtr)→0.0%(4th Qtr)→▲7.3%(’20 1st Qtr)であった。
(続く)
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