2.世界の石油・天然ガスの生産量
(3) 主要国の2010~2020年の生産量の推移
(シェールオイル開発で米国が驚異的な生産増!)
(2-2-1)石油 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-2-G03.pdf参照)
ここでは石油生産量が世界1~3位の米国サウジアラビア、ロシアに加え、米国の経済制裁のため石油輸出に苦しみ2020年の生産量が世界8位のイラン、及び近年深海油田の開発で生産量が増加傾向にある世界9位のブラジルの5カ国について2010年以降の生産量の推移を検証する。
2010年の石油生産量はロシアが唯一1,000万B/Dを超え(1,040万B/D)、世界2位がサウジアラビアの990万B/D、米国はこれら2カ国より200万B/D以上少ない760万B/Dにとどまっている。一方イランは440万B/D、ブラジルはイランの半分の210万B/Dであった。
2011年にはサウジアラビアが1,100万B/Dを生産してロシアを追い抜き世界最大の石油生産国となった。同国はその後も2019年まで1,200万B/D前後の高い生産レベルを維持したものの、2020年は世界需要の減退の影響を受け1,100万B/Dに落ち込んだ。ロシアはサウジアラビアと同様の傾向で推移したが、2020年現在もサウジアラビアを下回っている。
このよう中で生産量を大幅にアップしたのがシェールオイルの生産が本格化した米国である。同国の生産量は2011年から急激に増加し、2013年には1,000万B/Dを突破、2014年にはサウジアラビア、ロシアを追い抜いて世界一に躍り出た。その後も増産の勢いは止まらず、2019年の生産量は1,700万B/Dを記録し、これは2010年の2.3倍である。昨年(2020年)の生産量は若干減退し1,650万B/Dにとどまったが、サウジアラビア及びロシアとの差は5~600万B/Dに達する。
イランは2012年から2015年まで400万B/Dを下回るレベルで推移した後、2017年には490万B/Dまで回復したが、2019年には大きく減退し340万B/Dにとどまった。これは米国の経済制裁の影響である。昨年(2020年)はコロナ禍も加わりイランの石油生産量は310万B/Dと過去10年間で最低のレベルに落ちている。
ブラジルは深海油田の開発が軌道に乗り、2013年以降生産量が順調に増加している。即ち2013年に210万B/Dであった同国の石油生産量は、2015年に250万B/D、2017年に270万B/Dとなり、2020年は他の産油国の生産が減少する中で唯一前年を上回り300万B/Dの大台を突破した。この結果、同国の生産量はほぼイランに並ぶ水準に達している。
(続く)
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