1.世界の石油・天然ガスの埋蔵量
(2) 2020年末の国別埋蔵量
(石油埋蔵量世界一はベネズエラ!)
(2-1)石油 (表http://bpdatabase.maeda1.jp/1-1-T01.pdf参照)
2020年末の石油埋蔵量が世界で最も多いのはベネズエラの3,038億バレルであり、サウジアラビア(2,975億バレル)がわずかな差で世界第2位である。両国が世界全体の埋蔵量(1.7兆バレル)に占める割合はそれぞれ17%強である。
3位以下は埋蔵量が2,000億バレル以下であり、世界全体に占めるシェアも10%未満である。3位以下10位までの国とその埋蔵量は、カナダ(1,681億バレル)、イラン(1,578億バレル)、イラク(1,450億バレル)、ロシア(1,078億バレル)、クウェイト(1,015億バレル)、UAE(978億バレル)、米国(688億バレル)及びリビア(484億バレル)である。因みにOPEC加盟国の合計埋蔵量は1.2兆バレルであり、世界全体に占める割合は7割に達する。
なおこれを各国の生産量と比べると(後述「生産量」の項参照)、興味深い事実が浮かび上がる。即ち埋蔵量ベスト10カ国のうち、1位のベネズエラと10位のリビアを除く8カ国は生産量でもベスト10に入っているが、ベネズエラは生産量世界27位であり、リビアは同31位にとどまっている。両国ともに内政が混乱し、石油生産が極端に落ち込んでいる。ベストテンの中でも、米国は埋蔵量9位であるが、生産量は世界一であり、一方、イランは埋蔵量世界4位で、生産量は8位にとどまっている。世界最強の米国と米国の経済制裁に苦しむイランの対照的な姿が現れている。
(天然ガス埋蔵量世界一はロシア!)
(2-2)天然ガス (表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-T01.pdf参照)
2020年末現在、世界で天然ガスの埋蔵量が最も多いのはロシアである。同国の埋蔵量は37.4兆立方メートル(以下㎥)であり、世界全体の20%を占めている。ロシアに次いで天然ガスの埋蔵量が多いのはイランの32.1兆㎥、3位から5位まではカタール(24.7兆㎥)、トルクメニスタン(13.6兆㎥)、米国(12.6兆㎥)であり、これら5カ国が10兆兆㎥を超える埋蔵量を有する国々である。
2位イランと3位カタールのガス田はいずれもペルシャ(アラビア)湾内にある海上ガス田であり、イラン側では南パルスガス田と呼ばれカタールはNorth Domeと呼んでいるが、実は両国のガス田は一体としての広がりを持ったものである。現在はそれぞれの領海あるいは経済水域内で十分な量のガスを産出しており問題はない。しかし将来ガス開発が沖合に広がれば両国間で資源争奪戦が懸念されるところである。
(石油+天然ガス合計埋蔵量世界一はイラン!)
(2-3)石油+天然ガス(表http://bpdatabase.maeda1.jp/3-1-T01.pdf参照)
石油と天然ガスの埋蔵量世界一は、それぞれベネズエラとロシアであるが、両者を合計した埋蔵量が世界で最も多いのはイランである。同国の原油埋蔵量は1,580億バレル、天然ガスは32.1兆㎥であり、これを石油に換算すると2,020億バレルである。従ってイランの石油・天然ガス合計埋蔵量は石油換算で3,600億バレルとなる。石油と天然ガスの比率は44:56である。
イランに次いで多いのはベネズエラである。同国の場合石油は3,040億バレル、天然ガスは6.3兆㎥(原油換算390億バレル)で合計3,430億バレルとなる。石油が9割近くを占め、天然ガスに比べて圧倒的に多い。ロシアの合計埋蔵量はベネズエラとほとんど同じであるが、石油とガスの構成比は石油3割、天然ガス7割であり、ベネズエラと対照的である。
4位から10位までの国の生産量(石油換算)及び石油・ガス構成比を列挙すると以下の通りである。
4位サウジアラビア 3,350億バレル(石油89:ガス11、以下同じ)、5位カナダ 1,830億バレル(92:8)、6位カタール 1,800億バレル(14:86)、7位イラク 1,670億バレル(87:13)、8位米国 1,480億バレル(46:54)、9位UAE 1,350億バレル(72:28)、10位クウェイト 1,120億バレル(90:10)
(続く)
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