石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(7月16日)

2021-07-16 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・米国が韓国、日本のイラン凍結資産の貿易決済使用を認める:米誌報道

(中東関連ニュース)

・トルコのエルドガン大統領とイスラエル大統領電話会談が意味するもの

・UAEがイスラエルのテルアビブにGCC初の大使館開設

・ハリリ氏が首相指名を辞退。混乱の極に達したレバノン

・イラク・サドル師、10月選挙ボイコットを言明

・ヨルダン、アリ王子を摂政に任命

*(ニュース解説)「ヨルダン王家に何が起こったのか?」参照。

*「ヨルダン・ハシミテ王家系図」参照。

 

・Fitch、サウジの格付けをA「ネガティブ」から「安定的」に変更

*「ソブリン格付け(S&P, 7月現在)」参照。

・サウジ財務相、ハモンド元英蔵相をアドバイザーに起用

・駐サ岩井大使、スポーツ大臣とTV会談

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BPエネルギー統計2021年版解説シリーズ(埋蔵量篇3)

2021-07-16 | BP統計

1.世界の石油・天然ガスの埋蔵量

(3) 2000~2020年の埋蔵量の推移

(2019年から2年連続で埋蔵量が減少!)

(3-1)石油 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-1-G02.pdf参照)

 2000年から2020年までの各年末の世界の石油埋蔵量推移を見る。2000年末の1.3兆バレルから2020年末は1.33倍の1.7兆バレルに増加している。この間の対前年増加率の平均は2.9%であった。

 

年を追って見ると、2000年代前半は緩やかな増加を示し1.3兆バレル台で推移した。2000年代後半に入り、埋蔵量は急激に増加し2007年に1.4兆バレル、2009年には1.5兆バレルを超え、2010年には対前年比7%の大幅な増加により埋蔵量は1.6兆バレル台に達した。2010年代前半は再び増加率が鈍り、埋蔵量が1.7兆バレルを超えたのは2017年である。そして2018年の1.74兆バレルをピークに2019年及び2020年は2年連続で埋蔵量が減少、2020年末の埋蔵量は1.73兆バレルとなっている。

 

(2019年の190兆㎥がピーク?)

(3-2)天然ガス  (表http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G02.pdf参照)

 2000年末の世界の天然ガス埋蔵量は138兆立法メートル(以下兆㎥)であり、20年後の2020年末の埋蔵量は1.36倍の188兆㎥に達している。この間の対前年増加率の平均は1.6%であった。上記の石油と比較すると、天然ガスの方が増加幅は大きいが、対前年増加率の平均は小さい。これは天然ガスの対前年増加率が1%未満あるいはマイナスになる年が多かったためである。

 

 年を追って推移を見ると、2000年末の埋蔵量138兆㎥は翌2001年に大幅に増えて152兆㎥になり、その後2006年までは微増にとどまった。2007年以降埋蔵量は再び増加に転じ2010年末には180兆㎥の大台を突破、2010年代は180兆㎥台を続け、2019年には190兆㎥と過去最大に達した。しかし2020年末には埋蔵量が188兆㎥に下がっている。

 

(石油と天然ガスの比率は6:4で20年間変わらず!)

(3-3)石油+天然ガス(表http://bpdatabase.maeda1.jp/3-1-G02.pdf参照)

 石油と天然ガスの2000年の合計埋蔵量は石油換算で2.2兆バレルであり、2020年には1.34倍の2.9兆バレルに増加、この間の対前年増加率の平均は1.5%である。合計埋蔵量は2001年に2.3兆バレルを超え、2010年には2.8兆バレルに達したが、2017年に2.9兆バレルを超えた後は横ばいを続けており、昨2020年は2019年より0.6%減少している。

 

 石油と天然ガスの比率を見ると200年は石油60%、天然ガス40%であったが、この比率はその後も変化が無く、2020年は石油59%、天然ガス41%である。

 

(付記)今後埋蔵量はさらに減少するか?:IEA勧告の影響度

 各年末の埋蔵量は下記の数式で表すことができる。即ち、

本年末の埋蔵量 = 前年末埋蔵量 + 本年中の新規発見量 - 本年中の生産量

 これは本年中の新規発見量が生産量を上回れば埋蔵量は前年より増加し、逆に生産量が発見量を上回れば埋蔵量は前年より減少することを示している。

 

 上述のとおり石油は過去2年連続、また天然ガスも昨年は埋蔵量が減少している。実は後述の「生産」の章で述べる通り、昨2020年は新型コロナ禍のため経済活動が停滞し、石油、天然ガス共に生産量が前年を下回っている。それにもかかわらず埋蔵量が減少しているのは、新規発見量がそれ以上に減少しているためである。これは世界的規模で探鉱開発が低調になっていることが原因である。

 

 今後コロナ禍が終息し経済活動が回復すれば石油・天然ガスの需要も回復するであろう。その際、石油・天然ガスの価格が上昇し、探鉱開発投資のインセンティブが生まれ、それが数年後に新規埋蔵量の増加と言う形に反映される、と言うのが従来の一般的な見方であった。IEA(国際エネルギー機関)もこれまでは埋蔵量の減少に対して、石油・天然ガスの生産国あるいは企業に対して探鉱開発の促進を呼びかけてきた。

 

 しかし最近、地球環境問題が大きくクローズアップされ、IEA自身が2050年までに炭酸ガス排出ゼロを目指すレポート「Net Zero by 2050」を発表した。IEAはこの中で石炭事業への投資を直ちにストップし、石油・天然ガスも新規開発投資をゼロにするよう勧告している。

 

 炭化水素エネルギーである石油・天然ガスに対してかつてない逆風が吹いており、埋蔵量も今後減少することは避けられない。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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