2021年7月8日
サウジアラビアを盟主とするOPECとこれに同調するロシアなど非OPEC産油国の合同カルテル(いわゆるOPEC+)は、今年1月以降毎月ビデオ会議方式で閣僚会合(ONOMM, OPEC and Non-OPEC Ministerial Meeting)を開催し、昨年(2020年) 4月に決定した協調減産の見直しを行っている。
しかし直近の7月1日に開催予定であった第18回ONOMMは流会と言う予想外の結果になった。原因はサウジアラビアとロシアが事前に合意した8月以降の増産(減産緩和)案に対し、UAEが頑強に抵抗したためである。UAEの反乱の背景について分析すると以下のような事実が浮かんでくる。
*これまでのONOMM会合については下記2件のレポートを参照。
「本年1-7月のOPEC+(プラス)協調減産を検証する」(2021年4月)
「首の皮一枚でつながったOPEC+(プラス)体制」(2021年1月)
1.970万B/D減産で始まったOPEC+の協調体制
OPEC+の協調減産は2020年5月に始まった。体制に加わったのはOPEC10カ国、非OPEC10カ国の合計20カ国である (OPEC加盟国のうちイラン、リビア及びベネズエラは諸般の事情を考慮して協調減産の対象外となった)。この時、5-6月の減産量は970万B/Dとし、7-12月は770万B/Dに緩和することが決まった。そして国別に定められたReference Production(参考生産量)に従い、各国に減産量が振り分けられた。
OPEC+の協調減産量と各国の参考生産量は昨年12月のONOMMで再検討され、今年1月の減産量を720万B/Dとして以後毎月のONOMMで見直すことになった。この結果7月の協調減産量は580万(正確には575.9万)B/Dまで緩和され、各国の減産率は一律14%弱になっている。(但しメキシコのみは割り当て参考生産量が少なすぎると主張、当初から減産割り当てを免れている)
因みにUAEの参考生産量は3,168千B/Dである。7月の同国の割り当て減産量は433千B/Dであり、従ってRequired Production(所定生産枠)は2,735千B/Dとなる。またサウジアラビア及びロシアは共に参考生産量1,100万B/D、減産量1,505千B/Dであり、所定生産枠は9,495千B/Dである。
*今年1月以降のOPEC+協調減産の国別詳細は下記参照。
「OPEC 及びNon OPEC (OPEC+) の協調減産量(2021年7月現在):Voluntary Production Levels」
(続く)
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荒葉一也