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BPが恒例の「BP Statistical Review of World Energy 2021」を発表した。以下は同レポートの中から石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量、貿易量等のデータを抜粋して解説したものである。なお、本稿では天然ガスを石油に換算し合計した炭化水素資源の埋蔵量、生産量、消費量についても比較した。
*BPホームページ:
**天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル(以下㎥)=629万バレル(1兆㎥=62.9億バレル)。
1.世界の石油・天然ガスの埋蔵量
(1) 2020年末の地域別埋蔵量
(中東に世界の石油の半分!)
(1-1)石油 (図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-1-G01.pdf参照)
2020年末の世界の石油確認可採埋蔵量(以下単に「埋蔵量」と言う)は1兆7,320億バレル(1バレル=159リットル)である。地域別の分布を見ると最も多いのが中東であり、世界全体の半分近く(8,360億バレル、48%)を占めている。次いで多いのが中南米の3,230億バレル(19%)であるが、中東の半分以下である。これに続くのが北米(14%)、ロシア・中央アジア(8%)、アフリカ(7%)である。アジア・大洋州および欧州は後述する通り消費量では世界トップ及び3位の一大消費地であるが、埋蔵量ベースではそれぞれ世界の3%と1%を占めるに過ぎない。
(ユーラシア大陸に世界の天然ガスの7割!)
(1-2)天然ガス (図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-1-G01.pdf参照)
2020年末の世界の天然ガス埋蔵量は188兆立法メートル(以下㎥)である。地域別の分布を見ると石油と同様中東が最も多く76兆㎥であり、世界全体の40%を占めている。中東に次いで天然ガス埋蔵量が多いのはロシア・中央アジアの57兆㎥(全世界の30%)である。これに欧州(2%)を加えると、ユーラシア大陸の埋蔵量シェアは70%を超える。その他の大陸はアジア・大洋州(主としてオーストラリア)が9%、北米8%、アフリカ7%、中南米4%といずれも埋蔵量シェアは一桁台にとどまっている。
(石油の比率が高い中南米、天然ガスの比率が高いアジア・大洋州!)
(1-3)石油+天然ガス (図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-1-G01.pdf参照)
上記天然ガスの埋蔵量を石油に換算し(1兆㎥=63億バレル)、石油と合計した埋蔵量で比較すると、中東が1兆3,100億バレルで最も多く、全世界の45%を占めている。次いでロシア・中央アジア5,020億バレル(17%)、中南米3,730億バレル(13%)、北米3,380億バレル(12%)、アフリカ2,060億バレル(7%)、アジア・大洋州1,490億バレル(5%)、欧州340億バレル(1%)の順である。
因みに各地域の石油と天然ガスの比率を見ると中東は石油64%、天然ガス36%であり、石油の比率が高い。その他の地域も概して石油の比率が高く、中南米は石油87%に対し天然ガスは6分の1の1に過ぎない。このような中でロシア・中央アジアとアジア・大洋州は天然ガスが7割を占め、他の地域とは逆の様相を示している。
(続く)
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