(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0541OilMajor2021-2ndQtr.pdf
4.設備投資[1]
(業績回復でも慎重な設備投資!)
(1)当期設備投資 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)
国際石油企業5社の4-6月期設備投資は、Shellが42億ドルで最も多く、これに次ぐのがExxonMobilの38億ドルである。その他の3社はTotalEnergies32億ドル、Chevron28億ドルで、bpは5社中で最も少ない25億ドルであった。前期(1-3月期)より多かったのはExxonMobil、Chevron及びShellの3社で、bp及びTotlEnergiesは前期を下回っている。前期を上回った3社も増加幅は大きくない。各社は2期連続して利益を計上しているが設備投資には慎重である。
(2019年以降低下し続ける設備投資!)
(2)2019年7-9月期以降今期までの設備投資の推移
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
2019年7-9月期の各社の設備投資はExxonMobil が77億ドルと最も多く、TotalEnergies 67億ドル、Shell 60億ドル、Chevron 50億ドルで最も少ないbpの設備投資は40億ドルであった。続く10-12月期にはExxonMobilの85億ドルを筆頭にShell、Chevronの順であったが、2020年に入り各社の設備投資は急減し、2020年7-9月期には各社ともほぼ半減している。その後10-12月期は少し回復し、2021年もその状態が続いている。
最新のIEAレポートは2050年までの炭酸ガス排出量ネットゼロを目標とし、化石燃料供給プロジェクトへの新たな投資を控えるよう提言している[2]。さらにオランダの裁判所がShellに対して2030年までに排出量を2019年比で45%削減するよう命じており(Shellは控訴中[3])、ExxonMobilの株主総会では環境対策を求める投資ファンドから取締役2名の選任を押し付けられる[4]など石油企業を取り巻く環境は厳しさを増している。各社とも景気の回復を見越して石油・天然ガスの開発投資に注力してきた従来のような設備投資方針の見直しを迫られている。
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
[1] 「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures
Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow
bp:Capital expenditure
TotalEnergies:12. Net investments
Chevron:Capital & Exploratory Expenditure, Worldwide
[2] ‘Net Zero by 2050 A Roadmap for the Global Energy Sector’
https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050
[3] ‘Shell response to Dutch court ruling in case brought by Milieudefensie!’
[4] ‘ExxonMobil announces preliminary results in election of directors’