Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(59)
第22章 さまよう3羽の小鳥(3)「アブダッラー」の異変(2/2)
「何でもありません。任務が終わって緊張が解けたためと思われます。」
実のところ「アブダラー」は緊張が解けた訳ではなかった。彼には気がかりなことが一つ残っていた。操縦する戦闘機の胴体に抱えている小型核ミサイル---------。
<これだけは無事に基地に持ち帰らなければ> 彼は心の中でそうつぶやいた。
ペルシャ湾上空をホルムズ海峡へと向かう戦闘機は母国からますます遠ざかるばかりである。彼は前方に拡がるペルシャ湾の紺碧の海と真青な空をただじっと凝視した。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
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