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(目次)
第3章 アラーの恵みー石油ブームの到来(14)
077 富の分け前を求めて湾岸産油国に殺到する出稼ぎ(2/4)
カネがあるから建物、道路、橋、港湾などのインフラ整備は難しくない。ヨーロッパの建築コンサルタントに設計を依頼し、トルコやエジプトの業者に工事を発注、労働者はインド、パキスタンの安い労働力で賄う。学校や病院についても同じこと。必要な教材或いは医療機器を揃えることもカネ次第で何とでもなる。
こうして「ハコもの」はカネで片が付く。問題はヒト。インフラを維持するのは人間であり、学校の教師或いは病院の医師などの人材も必要である。それまで満足な学校や病院のなかったサウジアラビアやクウェイトには教師や医師が殆どおらず、学校や病院を急増したイラクでも教師や医師の絶対数が足りない。
生徒或いは患者とのコミュニケーションが重要な教師や医師はアラビア語を話せることが必須である。アラビア語を話せる人材が必要なのは教師や医師のような分野ばかりではない。経済発展に伴い商業も活況を呈し始めたが、当時のサウジ人やクウェイト人は帳簿をつけたり簡単な釣り勘定すらできない。人材の供給源はエジプト人、パレスチナ人、レバノン人、ヨルダン人たちであった。人材を求める湾岸産油国と富の分け前を求める双方の需要と供給がマッチし、彼らは出稼ぎ人となってイラク、クウェイト、サウジアラビアの湾岸産油国に殺到した。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
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