わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問45 釉にぶつぶつ(泡状)が出た時の対策

2020-08-25 10:53:33 | 質問、問い合わせ、相談事

(ぷくぷく)様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解を記します。


 今回、教えていただきたいことがあり、メールさせていただきました。

 マグカップを焼いたところ、透明釉が溶けずに白濁していたため、もう一度焼きました。

 すると、今度は全体的に白っぽい泡泡になってしまいました。

 気に入っていたマグなので、何とかならないかと思うのですが、例えば、ごく細かい

 サンドペーパーなどで擦ると、どうなるでしょうか?

 マグには、像篏と模様の貼り付けをしています。

 

◎ 明窓窯より

 熔け不足や希望と違う色に焼き上がった作品を再度焼成する事は一般に行われて

 いますが、再焼成しても必ずしも希望通りに行くわけではありません。

 今回ご質問の「泡泡=ぶつぶつ」の状態に成る事も起こり易い現象です。

 特に最初に焼成してから時間が経った場合に起こる傾向にあります。

1) 釉の内部に気泡が存在する場合が多いです。

  ぶつぶつの正体は気泡です。空気の事もありますし、水蒸気であったり、釉中から

  発生した「ガス」の場合もあります。これは貫入から入り込んだ水分や空気による

  物と考えられています。

  ⅰ)気泡があると、表面が不透明になり、作品表面の図柄が不鮮明となり、場合に

   よっては、全く見えなく成る事もあります。

  ⅱ)作品全体に起こる場合と、局所的(特に作品の下部又は器の外側)に発生する

   事もあります。施釉が厚く掛かった部分のみに見られ事もあります。

  ⅲ)気泡の大小にもよりますが、指の爪で押すと気泡が破れ醜い痕に成ります。

   これは、気泡を薄いガラス質の釉が覆っている状態で、破れる事で先端が鋭利な

   ギザギザの突起が出来、手に持つ事すら危険になります。当然実用に耐えません。

2) 表面を目の細かい紙ヤスリで削っても、気泡が中にある限り取り除く事は出来ません。

 むしろ薄いガラス質に穴を開けるだけです。

 ⅰ)対策は出来るだけ、気泡を潰してから、再度釉を掛けて焼成する事です。

  気泡を潰すには、先の尖った鋭利な金属棒や、広い範囲の場合には、ハンマー

  (木製又はゴム製)で軽く叩き、泡を潰します。

  強く叩くと器を傷つけますので注意が必要です。

  又、表面が凸凹している事と焼成を繰り返す事で釉が表面に載り難です。

  焼成後でも完全に泡が取れるとは限りません。

  それ故、焼成しても不出来でしたら、廃棄処分が妥当です。

 ⅱ) 再度最初から作り直す方が確実ですし、時間的にも早い場合が多いです。

  失敗した作品を補修するのは、意外と大変ですし、満足できる作品にするのはいくら

  努力しても、報われる結果が出るわけではありませんので、ある程度補修しても

  希望通りに成らない場合には、最初から作り直す事を勧めます。

当方でも何度か同じ状態に成った事がありますが、確実な方法を見出す事が出来ません

でしたので、適格な情報をお伝え出来ません。申し訳ありません。

以上 

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質問44 亜鉛結晶釉と撥水剤に付いて

2020-08-13 10:16:02 | 質問、問い合わせ、相談事

田中豊治様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりに回答します。

自身で小さい電気窯を購入しました新米です。

いま市販の亜鉛結晶釉でなんとか結晶ができるようになりました が 釉を自作して

みたいと思いいろいろ拝見しこの記事を見つけました、石灰三号透明釉:酸化亜鉛(亜鉛華) 

= 100:20~25(外割) この調合だけで亜鉛結晶釉が出来るのですか?


何か補足すると言うのは無いのですね。


試行錯誤はあると思いますが・・・。

これとは別件で撥水剤を筆で塗り模様を抜く作業でコンプレッサーでスプレー掛けすると

釉を殆ど弾きません、やり方が悪いのか誰でもそうなるのかお聞きしたいです。


因みに浸すと弾きました。

 

◎ 明窓窯より

1)基本的には上記の割合になります。

 他の成分を添加する人もいる様ですが、それはその人の研究の結果ですので、

 必ずしも、必須事項ではありません。

 尚、その人なりの研究とは、より確実に結晶を作りたい。温度範囲を広げたい、

 より綺麗で大きな結晶を造たい等の要求による物で、特にご自分の窯に適する割合

 を模索した結果であり、万民向けと言う訳でありません。

2) 上記配合では白色の針状結晶か扇状結晶になります。

 結晶状態は焼成温度と保持時間に左右されます。

 着色剤として他の金属類を添加する事で、色の着いた結晶を作る事が出来ます。

 例えば、酸化ニッケルで青色、酸化コバルトでは紺、鉄で薄茶色酸化銅を添

 加すれば緑色になります。

3) 任意の場所に結晶をより確実に出現させる為、酸化亜鉛粉末を糊状の物(CMC)等

 で練り、筆置きするやり方もあります。これは結晶の核を作りここを拠点として

 結晶を成長させようとする方法です。施釉する前に行うか施釉後に行う方法があります。

4)結晶釉が流動性のある事と、結晶成長温度に長時間保持する事が大切です。

 特に、保持温度を保つ為には、ご自分の窯の性格をつかむ事が肝要です。

 失敗する事も多々あります。「めげずに」努力して下さい。

5)撥水剤を筆塗り後、釉をスプレー掛けすると、釉を弾かない件。

 あなた様が使用している撥水剤の種類がどの様な物かが判りませんので、的確な答えは

 出来ません。

 市販されている陶芸用の撥水剤には、油性の物、水性の物、臭いの強い物、弱い物、

 赤又は青色の色の着いた物、無色の物、生素地に適応する物、素焼きにも適応する、

 更には釉に混入させて使う物、施釉後使用し後掛け釉を弾く物、更には焼き上がり表面に

  使用し水漏れ防止用(食器用、花瓶等用)など種類が多いです。

  速乾性の有る物、乾きが遅い物など千差万別です。

  水性用は油性用より撥水性が弱い様です。又素地が粗い場合には撥水効果が弱い

  と言われています。値段と容量にも変化があります。

  詳しくは、ネットで調べる事が出来ます。

  ご自分の希望する撥水剤を見つけて下さい。  

以上ご検討下さい。

 

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陶芸と金属類の関係2

2020-08-10 14:06:23 | 陶芸と金属類

2) 金属の種類は多いが、焼き物に関係する物質は有る程度限定されます。

 地球上で安定して存在する元素は、原子番号1番の水素(H)から92番のウラン(U)まで

 ですが、43番のテクネチウム(Tc)は半減期が短い為、地球上から既に蒸発し存在

 しませんので、元素は91種類に成ります。尚、93番以降の元素は、原子炉の中で

 人工的に作られた元素で、超ウラン元素と言います。

 この中で金属元素は、70種類程度です。

 ① 地球上の金属は酸化物が多いです。

  地球上では空気中の酸素と結合し、酸化物として産出されます。それ故元素のまま

  産出される事は稀です。

 ⅰ) 同じ元素と結合する物質は色々あります。

  例えば単に酸素(O2)のみに結合する物質や、水酸化物(OH)や炭酸化物(CO3)

  硫化物(SO4)、塩化物(Cl2)等と結合したりし、その結合物によって化学的に異なる

  反応(作用)が起こります。大きく変わる物も有ればほとんど同じ効果の物もあります。

  後者であれば代用が利き、手に入り易く単価の安い方の物質を使うと経済的です。

 ⅱ)粘土中に入っている金属類とは。

  a) 一番多い物質は酸化鉄です。主に赤土として産出されます。

   鉄分の含有量によって黄色から薄茶、茶色、濃茶色、黒色を呈します。

   市販されている赤土も産地によって特徴があり、焼き上がりの発色も異なります。

  b) 一般に赤土は焼成温度を下げます。

   即ち耐火度が弱く成ります。但し、収縮率を上げますので、焼き締り易く成ります。

  c) 関東地方に白い土が少ない理由。

   使用する粘土には、各々好みの物が存在するか、好みに合わない土も他の土と

   混合させて好みの土を作る事が可能に成った現在、又は他所から産出する土を容易に

   入手可能な現代では、当地で産出する土を使用する必要は有りませんが、

   出来れば当地から産出する土を何等かの方法で利用するのも、宜しいと思われます。

   関東ローム層は主に富士山や箱根山、浅間山、赤城山、妙義山、男体山等の噴火で

   一万年~数十万年前の間に降り積もった火山灰が風化し、粘土化した物と言われて

   います。火山灰には粘土質の成分が多く含まれています。

   即ちシリカ(SiO2)やアルミナ(AI2O3)成分で、その他に鉄分(FeO2)やMnO、MgO、

   K2O等の鉱物が細かなガラス質成分と共に存在します。

   その為、多くは赤褐色した鉄分を多く含む土です。各火山の違いにより、又は

   年代により、噴出物の性質に違いがあり、風化の仕方にも違いが出て、同じ関東地方

   でも産地によって土の色の濃さや、肌ざわり等に違いがあります。

   それ故、関東地方には白い土は少ないです。

   尚、関東地方の著名な窯場は、益子焼き(栃木県)、笠間焼(茨木県)です。 

以下次回に続きます。 

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陶芸と金属類の関係1

2020-08-04 11:30:19 | 陶芸と金属類

陶芸と各種金属類との間には密接な関係が有ります。

例えば、素地に混入して素地の性質を変えてしまう事も有ります。

又、主に釉に混ぜて、色々な色又は好みの色に発色する事が行われいます。

その他、絵付けとしての絵具に利用されたり、金や銀の様に装飾する為にも使われます。

金属にはその金属特有の物理的(結晶、強度等)、化学的性質(酸化還元等)を有しますので、

それらを理解する事は有意義な事と感じます。

今回より「陶芸と金属類の関係を」順次述べたいと思います。

1) 各地の粘土の差とは。

 磁土にも産地によってある程度の差が生じますが、粘土程の差が出ないのが普通です。

 粘土はその産地によってその性質も大きく異なります。その為その性質に有った作り方や

 焼成の仕方が異なり、出来上がり作品もその土地ならではの焼き物に成ります。

 ① 各地の粘土の違いは、その中にどの様な鉱物が含まれているかに拠ります。

  a) 粘土の基本的な鉱物は、シリカ(珪酸、SiO2)とアルミナ(Al2O3)です。

   これは、岩石の成分と同じで、特に陶土なり易い火成岩(花崗岩等)が雨風熱等により

   風化、微細粉砕化され、更には雨や川によって流失移動し堆積し粘土に成った為です

  b) この風化による微細化と流動堆積化の途中で、その土地に存在する各種鉱物と

   混在します。特に鉄やマグネシウム、カルシュウム、石英の他、アルカリ金属、アルカリ

   土金属等の希土類も含まれる場合も有ります。これらの含有物や含有量によって

   粘土の性質が決定されます。

  c) 焼き物に適する土は選別されます。

   上記の土全てが焼き物に適するものではありません。当然人為的に取捨選択しさらには、

   陶土として精製して使用する事に成ります。一般的には水簸(すいひ)の技法を取ります

   上記粘土に含まれる植物片や「ごみ」「有害な物質(水溶性のアルカリ類)」を取り

   除きます。

  d) 焼き物に適する土

   ⅰ) 可塑性(かそせい)が有る事。

    一度力を加え、変形させ、その力を取り除いてもその変形を保持する性質を可塑性と

    言います。その為には、「延び」が良い事と、「腰の強さ」が要求されます。

   ⅱ) 乾燥に強い事。

    素地を乾燥させると縮ます。その際「ひびが入らない」ことが肝要です。

    この「ひび」はほとんど修正不可能です。

   ⅲ) 良く焼きし締まる事。

    作品を高い温度で焼成する事で、素地は焼き締り、物理的強度が増し、使用に

    耐える物になります。当然高い温度に耐える必要があり、その温度範囲も広い事も

    大切です。焼き過ぎや焼き不足になる危険性が少なく成る為です。

   ⅳ) 焼き上がりが美しい事。

    施釉陶器でも、焼き締め陶器(無釉)であっても、美しく焼き上がる事がその作品の

    価値を高める事に成ります。

    特に施釉陶器では釉が良く熔け、素地に密着する事が大切です。

以下次回に続きます。   

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質問43焼成後に表面にカン(?)が入る

2020-06-29 14:57:44 | 質問、問い合わせ、相談事

国本加代様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの回答をします。

初めて投稿させていただいています。

マジョリカという土で成形された器に、他メーカーの低温透明釉薬を筆で塗っ

て焼いているのですが、1ヶ月ほどたつと傷のように大きさカンが入り出すのです。

膨張率が合わないということなのでしょうが、どうすればいいのか、その先が

判らなくて困っています。何か方法が、あるでしょうか。

よろしかったら教えて下さい。よろしくお願いいたします。

 

明窓窯より

焼成後1ケ月程すると、「カン」が入り出すとの事ですが、「カン」の意味が判りません。

貫入(ひび)の事でしょうか?又は割れや釉が剥がれる事でしょうか?

いずれにしても、窯出し直後は問題ではなかった事の様です。

当方はマジョリカ(土、釉)に付いて経験は有りませんので、一般的な土や釉の場合

から推測して述べたいと思います。

注)マジョリカ:素地は白と軽さを増すために、可塑性粘土に石灰石や白雲母(ドロマイト)

を加えた、多孔質の軽質陶器の事で、スペインの地中海にあるマジョリカ島で17世紀前後に

制作され、950~980℃程度の低下度焼成され低温の釉が掛けられた陶器です。

1)自然に、数ケ月後又は数年後に突然作品にヒビが入ったり、割れが生じる事は、

 一般的な土や釉薬でも、起こる事は昔から知られている現象です。

 素地や釉に掛かる応力(歪=ストレス、部分的に加わる力等)が解放された結果と

 思われていますが、何故突然起こるのか、ハッキリした理由は私の知る限り判り

 ません。

 作品が記載されていない事や、市販の土や釉をご使用との事。

 更に焼成条件等不明な事が多いのですので、適格な答えに成っていません。

2) 素地の構成要素に起因するのか、釉に起因のかどちらによる物かも、いまいち

 不明です。即ち、有る時突然に素地が急膨張するか釉が急激に縮む為ですが

 その理由が判らないのです。素地と釉との収縮率の差と簡単にはいえません

 当然、制作に取り掛かる前には十分な土練りが重要です。

 尚、今回は市販の土と釉を使用との事ですので、土や釉を修正して解決

 する事は困難です。そこで他の要素を検討する事にします。

3)制作方法(手捻り、ろくろ)、施釉方法(筆塗り)、焼成条件が原因の場合。

 a)作品が表示されていませんので、作品の大きさや肉厚が不明ですが、作品に肉厚の

  差がある場合、肉厚の部分にはより強い応力が働きます。

  出来るだけ肉厚さを均等にすれば応力は少なくなります。

 b)釉の弾性率(伸び縮)が部分的に異なる場合、釉が急激に縮貫入や割れが生じ易い

  です。今回施釉は筆塗りとの事ですので、釉の厚みも部分的に濃淡が有ると思われます。

  筆塗りの理由がいまいち不明ですが、スプレー掛け等他の方法に変更するのも

  良いと思われます。尚、筆塗りの場合、薄目の釉を重ね塗りすると、改良される

  場合もあります。

 c)焼成の冷却時間を長くする。

  窯を急冷すると、貫入が入り易くなります。勿論釉によっては急冷する必要が

  ある場合もありますが、なるべく徐冷すると素地や釉に与えるストレスを少なく

  する事が出来ます。

結論

 作品の肉厚を出来るだけ均一化し、差を設けない。

 施釉の際、釉の厚みに差を設けない。

 焼成時窯を徐冷する。

当方では以上の事しか思い付きません。参考に成るか分かりません。

尚、当ブログの読者の方で、対処方法をご存知ならば、コメントして頂ければ有難い

です。

以上

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質問42 絵付けと施釉に付いて

2020-05-13 11:06:38 | 質問、問い合わせ、相談事

アールドットナーノ様より、以下のご質問を頂きましたので当方の見解を記します。

はじめして。
わたしは最近陶芸の絵付けを始めた者です。
自宅に電気窯を設置し、自分で釉薬を掛け焼成しています。
・素地は、有田土
・絵の具はアメリカの1100~1250℃に適しているもの
・釉薬は、透明の石灰釉。こちらも高温に対応するもの
上記を使っています。

釉薬が、いまいちうまくいきません。

どぶ漬で施釉しています。

全体的な厚みはいいと思うのですが、どうしても、一方向が分厚くなってしまうのです。
浸けて出すときに、下になる部分がどうしても分厚くなってしまうと思うのですが、どう処理したら良いのでしょう?

また、絵のあるところが少し窪み(釉薬が薄く)、全体的に絵の箇所とそうでないところがボコボコとします。

全くの素人であるため、知識がありません。

何かアドバイスがありましたら、ぜひ教えてください。
よろしくお願いいたします。

明窓窯より

有田土と有る事と、絵付温度が1250℃以下の事から、磁器土ではなく粘土と思われます。

質問は二つです。1) 釉に濃淡が出る事 2) 絵付け部分が凸凹する事。

1) 釉に濃淡が出る事

 ① 施釉方法がどぶ漬けですので、施釉時に所により時間差が出る為と思われます。

  時間差を作らない為には、先入れ先出しが基本です。即ち、先に漬けた部分から先に施釉薬を終

  わらせる事です。一般には、釉を潜らせると言います。特に横方向に広い器(例えば皿)で行いす

  又縦に長く垂直に漬けると時間差が出る場合には、横方向に寝かせて漬けます。

  その為には、釉は広い幅のある容器を使う事です。

 ② 施釉する時間は短い時間の方が良い。

  当方では、3~5秒で終わらせる様にしています。釉に漬ける時も、釉から引き上げる時も素早い

  動作が必要です。引き上げる迄の時間を長くすると、釉は厚くなります。

  十分に大きな容器に入った釉なら、どぶ漬けですので、思い切った動作が出来るはずです。

 ③ 「後から出した部分が厚くなる」と有りますが、施釉する際に十分釉薬がかき混ぜられていますか

  又、かき混ぜた直後に施釉していますか? かき混ぜてから時間が経つと釉は自然沈下し濃さに

  濃淡が出易いです。

 ④ 厚く釉が掛かって仕舞う所を、予め水で濡らして置く。

   素地が水を吸収する事で、水に溶けた釉を吸収する事で、施釉が出来ます。

   即ち、素地の乾燥具合によって、施釉の厚みをコントロールする事が出来ます

  水で濡らすには、直接真水に漬けるか、スポンジに水を含ませて拭きます時間は適時

   調整します。濡らし過ぎない事が大切です。

2) 絵付け部分が凸凹する事。

  ① 絵具は基本的には、素地に載ったゴミと同じです。

    塗る面積が大きい程、ゴミの範囲は広くなり、濃度が濃い程ゴミの量が増える事に

    成りますこのゴミは上に載る釉を弾く作用があります。

    それ故、出来るだけ塗る面積を少なくし、線描きを多用すると良いでしょう

  ② 絵具に釉を少し混ぜる。

     絵具と釉の相性が悪い場合、使用する透明釉を絵具に混ぜてから、絵付けを

     すると良い釉剥げを防ぐと共に、絵具に厚みを与えます。

以上 参考にして下さい。

  

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質問41作品の反りの防止に付いて

2020-04-30 17:12:16 | 質問、問い合わせ、相談事

西村屋様より以下のご質問をお受けしましたので、当方なりの見解をお知らせします。

作品の反りを防止するのは本当に難しいです。水盤を作ってみましたが、乾燥するとどうして

も内側(上)に反ってしまいます。

先に平らに底面を作って乾燥させてからでも、ドベを丁寧につければ周囲の縁(高さ3㎝位)

くっつきますか?

明窓窯より

乾燥した粘土同士を接着するのは、大変難しいです。ある程度素地に水分を含まないと、必ず

剥がれ発生します。(但し、磁土では可能と言われています。)

それ故、ドベを丁寧に付けても希望通りの結果が得られる可能性は低いと考えられます。

作品の大きさと、制作方法(手捻り、又は轆轤挽)によって対処方法も違いがあります。

反りは平の面積が大きい程、又肉厚が薄い程大きくなると言われています。勿論粘土の種類に

拠っても反り方に違いが出易い物もあります。

例えば、粒子の粗い物は細かい物より反りが少ない傾向にあります。

粒子が粗い場合乾燥が比較的早く進み易く、局所的に乾燥具合の違いが少ない多為と思われ

ます。更に素焼き前の反りも有りますが、本焼き時の反りも問題になります。これは素地が

生と同様に本焼きでも収縮するからです。

1) 乾燥は外側から始まります。

 基本的には作品全体を均一に、時間を掛けて乾燥させる事が理想的ですが、何らかの方法を

 講ぜず室内に放置した状態では、作品の外側が一番空気の出入りが多く早く乾燥が進みま

 す。乾燥とは縮む事ですので、底の外側から中心方向に力が加わり、内側に反り返ります

2) 土の密度のバラツキが原因の場合。

 土は十分締める事で、密度を高め反りに対する抵抗度を強めます。

 タタラの場合、土を伸ばす方向も関係してきます。伸ばす方向によって密度に変化が生じ

 易いです。轆轤の場合でも拳固で底を叩いて締めてから轆轤挽する事を勧めます。

3) 3cm程度の縁を後付けする事は余りお勧めできません。

 反りが発生するするのは、ある程度防げたとしても、完全に密着して接着出来ないからで

 す多くの場合、接着面にヒビが入ります。これはドベと素地との乾燥度合いの差によるも

 のです。即ちドベの水分が、素地に急速に吸収され、乾燥する為です。

4) 対策として、底の反対側に高台や桟を設ける事です。

 ベタ高台は反り易いです。又肉厚が大きい底板の場合、溝を彫る方法を取る場合がありま

 す。皿板の場合に取る方法です。

 当然形が異なって仕舞うかも知れませんが、何処かで折り合って下さい。例えば反りが目

 立たない構造にするのも一考です。

以上

 回答が当方の都合で遅く成ってしまった事をお詫び致します。

 不明な点が有りましたら再度ご質問下さい

 

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続 電動ろくろ39(上下逆さに作る)

2020-03-28 09:52:19 | 続 電動ろくろに付いて

轆轤で制作する際、一般には器の口を上部にして作ります。

但し、根本(底)が極端に狭い(小さい)場合で、上部が開いている時には、作品

自体が不安定になり、轆轤挽する事は困難です。その様な場合、上下を逆さにして

轆轤挽すれば、容易に制作可能です。但し、本焼きで焼成する場合は、上下正常な

状態ではやはり、作品が自立できず、焼く事は出来ません。その為何らかの方法を

とる必要が有ります。尚、施釉しない焼き物の場合は、逆さのままで焼成できます。

逆さに作るには、以下の方法で行います。

1) 口径に成る部分は広く(大きく)取り、ドーナツ状にし中央部は底を抜きます。

 紐作りで円形にしたり、一塊の土の中央に穴を開けたりして、密着させます。

 轆轤の中央に載せ、轆轤挽して綺麗な円環にします。

2) 上記円環の肉を上部に薄く延ばし、高さを出します。

 土を伸ばす際には、円錐形に成る様にします。斜めに伸ばしますので中々

 高さは出ません。

3) 底を轆轤挽で作る場合と、底の部分を後付けする方法があります。

 ⅰ)轆轤挽で作る場合には、底を作る為にタップリした土が必要です。更に底を

  平ら(水平)にする為に大きさも限定されます。空中で大きく平らにするのは

  轆轤では難しいからです。

 ⅱ) 徐々に口径を細くし、最後に口を閉じます。前々回で紹介した風船作りと

  同じです。口を閉じる前に、側面の傾斜をご希望の形に成形しておきます。

  勿論、口を完全に閉じればある程度、側面の形を変える事が出来ます。

 ⅲ) 口を閉じる際、最上部に土を残しこれをやや水平にして底を作る場合には、

  閉じる口の位置を若干下にする必要があります。残り土が少ない場合には、

  若干乾燥後に土を継ぎ足します。乾燥が甘いと、頭が重くなり、全体がヘタリ

  ます。

 ⅳ) 底を後付けする方法で有れば、十分乾燥後に取り付けますので、好みの大きさ

  にする事が可能です。底のなる部分の中央に孔を開け、作品の底がこの穴に

  差し込む様にして接着面を十分広くとり、作品の倒れるのを防ぎます。

 ⅴ) 作品の口縁を削り肉厚を薄くし、形を整える。

  逆さに作った作品では、口縁になる場分は、肉厚に成っています。肉薄の場合に

  は大きな作品を作る事が出来ないからです。

  轆轤面に糸を入れて轆轤面より切り離します。口径を上にして削る際にはシッタを

  使い安定した形で削ります。

4) 焼成の問題点。

  素焼きまでは、逆さにして焼成する事ができますので、ほとんど問題には成り

  ません。問題は高温で焼成する本焼きの場合です。

 ⅰ)伏焼きので焼成する。

  伏せ焼きとは、口縁を下にして焼成する方法です。主に底に成る部分に釉を掛け、

  見た目やテーブルを傷つけない様にする方法です。

  当然下に成る口縁になる部分は、施釉はしてありません。このままでは

  使用できませんので、口縁は融点の低い釉(楽焼等の釉)を掛けて焼くか、

  抹茶茶碗の様な場合には、金や銀製の環を取り付けて、無釉の部分を覆う

  場合もあります。

 ⅱ) 小さな作品であれば、内側の底の中央を棒で支え宙ぶらりんにして焼く方法

  もあります。当然棒の当たる部分は無釉にして置く必要がありますが、出来るだけ

  狭い範囲に留めます。尚棒は耐火度の高い土で作ったり、棚板と同じカオーボン

  ランダム等を用いる事ができます。底の内側に棒の痕が残りますが、上記の様に、 

  融点の低い度焼成するか、他の方法でカバーします。

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質問40 水簸の時間の目安

2020-03-20 13:23:21 | 質問、問い合わせ、相談事

ゆき様より以下のご質問をお受けしましたので当方なりにお答えいたします。

初めまして、以前よりじっくり!記事を拝見しております。

今回念願かなって、自作の草木灰を作る機会に恵まれました!!

しかし実際にやってみると、分からないことが3つあり、教えていただきたくコメント

しました。

1、水簸はどうしたらいいのでしょうか?  

  ・水は毎日取り換える?
  ・何日間くらい行うべき?
  ・個体差があると思うのですが、何をもって完成としたらいいのでしょう?
  ・野菜を作っているのですが、酸度計で計ってみてもわかりませんでした。。

2、水簸の際のアクとは
  こちのら記事でも、他の本にも、余分なアルカリ分を抜くことが大事と書かれています

  が、それは目に見えるものなんでしょうか?

  水に浸すと泡が出る・・・と記載されたものも目にしたのですが

  実際に行ってみると、わかりません。


  何か目安があればアドバイス頂けますか?

3、>完成した乾燥灰を再度燃やす事で取り除きます

と紹介されていらっしゃいますが
この後の記事を拝見しても、具体的な方法が見当たらなくて
恐れ入りますが、ご指南いただけると幸いです。

たくさんの質問をすみません。
お時間許すときにご回答いただけると嬉しいです。
これからも更新楽しみにしています!

明窓窯より

水簸の目的は二つ有り、一つは採取した灰に燃えカスや砂や木の枝等が含まれているのを

取り除く事です。二つ目は灰に含まれている水溶性アルカリ(水酸化Na,水酸化Ka等)の

有害物質を取り除く事です。二つを同時に行うのが水簸です。

ご質問の内容は、主に後者に付いての事と思われますが、書籍等の文献では、この区別が

明確でない為、混同した解説になっていると思われます。

1) 水は毎日取り換えるべきか?

 水溶性アルカリを取り除くには、日数よりも取り換える回数の方が重要と思われます。

 豊富な水量と、良くかき混ぜる事で、有害物質を1~2日で、害のない程度に取り除く事は

 可能です。水溶性ですので、十分細かくした灰であれば、水に溶け出すはずです。

 但し細かく粉砕されていず、燃えカス等が多ければ、日数を掛ける必要があります。

 尚、数日と記載されている場合、多くも場合3~5日と思って十分と思われます。

2) 何をもって完成とするか?

 完成の目安は有りません作った灰を実際に使用して問題が無ければ、それで完成です。

 但し、灰は綺麗に精製すれば良いと言うもではありません。上記アルカリ類も完全な悪とは

 思わない事です。ある程度の含有は釉にある種の趣を与えるからです。

 それ故、どの程度に精製するかは、使用する人の判断になります。

 又、灰の細かさも好みです。微粉末であれば、釉は均一に綺麗になりますが、灰釉の

  面白味が出なくなります。それ故、釉の種類の違いや、用途(上に振りかける)等によって

  精製の異なる灰を使い分ける事をお勧めします。

3) アクは目に見えるか

 野菜等を使う料理では、アク抜きを行いますが、この場合にはハッキリ認識する事が出来

 ますが、水簸では認識する事は出来ません。人によっては、水溶液を舐めてその味で

 確認する事があるとも言われています。

4) 結論

 灰の水簸は必ずしも必要ではないと思っている方もいる様です。精製されていない灰は

 個性が強いですので、釉も個性的な物になるからです。

 但し、灰は篩に掛けて、不純物は取り除く事です。

 水簸に付いて記述が少ないのと、詳細が不明なのは、その人独自のやり方があり、それが

 人に知らしめない秘技であるからです。

 それ故、ご自分で納得する方法と精製方法を見つける必要があります。

以上

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続 電動ろくろ38(風船、管作り2)

2020-02-27 15:00:43 | 続 電動ろくろに付いて

前回の続きです。

② 管作り。

 ドーナツ状の形を造る方法です。即ち、円形で中空ので筒(管)を作ります。

 このドーナツ型から、一部を切り裂いたり、穴を開ける等して、好みの作品に

 仕上げます。普通の轆轤挽とは、若干異なる方法で行います。

 管の直径や太さを自由に調整可能です。作り方は以下の通りです。

 ⅰ) 手を使い土でドーナツ状の円を作ります。

  この段階では、中空ではありません。一本の紐状の土の両端を繋げても良いの

  ですが、繫ぎ目に空気が入らない様に注意します。出来れば一塊の土から切れ目

  のない、ドーナツ状に出来ればより良いです。

 ⅱ) 上記ドーナツ状の土を轆轤に載せ、轆轤挽して綺麗な形にします。

  轆轤に載せ、上部より円周上を拳固で軽く叩き、轆轤に密着させます。

  轆轤を回転させ、内側、外側、真上を抑え込みます。管の径が太い場合には、

  布や皮を使い抑え込みます。

  綺麗とは、太さが一定で、内外の円弧が同心円に成っている事です。

 ⅲ) 綺麗なドーナツが出来たら、円周上の真上から指を使って、溝を掘る様に

  し内外を二等分します。尚、一方を肉厚にし左右の合わせ目を真上にしない

  方法もあります。当然底になる部分の肉厚は必要です。

 ⅳ) 内外の土を上部に薄く延ばし、円弧の形に変形させます。

  即ち、外側は( の形に、内側は )の形にします。円弧の大きさは作品に

  応じて変えて下さい。円弧上の溝は狭いですので、指が1~2本入る程度で

  作業、ややは難しくなります。

 ⅴ) 両方の円弧の側面を左右から圧し、溝の上部を塞ぎます。

  轆轤を回転させながら、左右の円弧を少しずつ接近させます。

  一気に塞ぐのではなく、少しづつ接近させ溝跡がない状態にします。

  ドーナツが歪(いびつ)の場合、溝の隙間が均一にならず、一か所が接着した

  り点々とくっつく事もありますので、綺麗なドーナツを作る事と、溝も

  綺麗に掘り込む事が大切です。尚、手指で行う事も有りますが、布や皮を使う

  場合もあります。空気が完全に閉じ込める事が出来れば一安心です。

  中の空気が漏れなければ、ある程度変形する事もできます。

  例えば、四角い管を作る事も可能です。  

  塞ぐ前には、筒の内側の水はスポンジ等で綺麗に吸い取っておきます。

  又、ある程度乾燥したら、中の空気を抜く使い小さな孔を開けておく必要が

  あります。

 ⅵ) この管から、好みの作品を作る。

  管の断面を円にするには、底も円に削り出す必要があります。上面と下面の

  形状を同じ様に削るのは、意外と難しいです。

  この状態では、使いものに成りませんので、一部を切り欠いたり、断面を切り

  Uの字型にして、音叉形の花器を作る事もできます。又、ドーナツの内側に

  平たい板を取り付け、何らかの、飾り物に仕上げる事も可能です。

  更に、ドーナツの一部に水道ホースの挿入部を設け、ドーナツの上面に数か所

  の孔を開ければ、噴水を作る事もできます。この形状をどの様に使うかは、

  あなたのアイデア次第です。勿論、円を立てて使う事も出来ます。

以下次回に続きます。 

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