8) 機械的強度と熱的強度
① 機械的強度。
焼き上がった作品でも、何らかの原因で、使用中や食器洗い、運搬途中で亀裂が入ったり、
縁が欠ける事も起こります。「焼き物は壊物」とも言いますので、壊れるのは宿命かも知れま
せん。しかし強い力が掛かった訳でも無いのに、壊れる事もあります。同じ衝撃であっても、
破損する物と、無事な物があります。その違いは機械的強度に左右されます。多くの場合、
焼きの甘さに関係する事が多いのですが、素地に問題がある場合もあります。
ⅰ) 焼きの甘さに関係する。
焼成温度が高い程、土は強く焼き締まり密度も増しますので、機械的強度が増す事になります
施釉した作品であれば、釉がしっかり熔け硬質なガラス質になりますので、更に強度増ます。
ⅱ) 素地の焼き締まりは温度以外に、素地の構成成分によっても異なります。
それ故、素地の構成成分を変える事で、機械的強度を増す事ができます。
一般に細目の土よりも、粒子の粗い土の方が、焼き締まりが弱く、衝撃に弱い傾向にあります
但し、微粉末された石英を多く含む素地では、焼成で強い内部応力が掛り易いですので、
何らかの原因で、突然「ひび」や「割れ」が入る場合がありです。
更に、制作時に土を良く叩き締め、密度を増す事も大切な作業です。仕上げで縁を皮などで
拭き締めると、一層縁の割れを防ぐ事が出来ます。
ⅲ) 釉が熔け不足の場合も、機械的強度は弱くなります。
釉は完全に熔け切った状態で、釉の内部まで均一なガラス状態になります。熔け切ていない
場合、表面は強いガラス質ですが、内部では化学的に不安定なガラス質になり、強度も弱く
なります。場合によっては、ガラスの材料が粒子状態で残っている場合もあります。多くの
場合熔け切っていない釉はマット状に成る事が多いですので、光沢のでる釉がマット状に焼き
上がる場合には、釉の熔け不足と思って間違いありません。
② 熱的強度。
土鍋など特殊な用途の物以外では、陶磁器は急激な温度変化に耐えられない場合があります。
特に煮沸する容器や、直火に掛ける物や電子レンジなどでは、注意が必要です。
素地その物に原因がある物と、作品の形状に起因する場合があります。
ⅰ) 素地その物に原因がある場合。
a) 石灰成分の多い素地では、急激な温度変化で作品が割れる恐れが大きいです。
骨灰を多く含む素地(骨灰磁器など)では、急激な温度変化に弱い物です。
b) 熱膨張率が大きな素地では、危険が増大します。
素地が膨張収縮する事で、作品にストレスが繰り返しかかる事で、熱破壊が生じます。
熱膨張率を小さくするには、ペタライト等リチウム鉱物を含む素地を用いる事です。
例えば粘土60%に、ペタライト40%の素地を使うと良い結果が得られます。土鍋用の素地
にはペタライトが入っている物が多いです。又土鍋用の釉にもペタライトが混入されてい
ます。
c) 石灰成分を含まない、粘土質で多孔性のある素地(素地の密度が小さい)は熱的変化に
強いです。
ⅱ) 作品の形状に起因する場合。
a) 熱が部分的に集中しない形にすれば、急激な熱変化に強くなります。
火(炎)の当たる底部に角張った部分があると、熱はその一点に集中し易くなり、熱破壊が
起こり易くなります。即ち、土鍋などは底全体に熱が均一に伝導する緩やかなカーブを設
ける事です。
b) 熱伝導が悪い素地の場合も、急激な熱変化に弱いです。
熱伝導は、作品の形状と素地の両方に関係します。即ち、緻密な焼き固まった素地では、
熱伝導が悪く、急激な熱変化で簡単に破壊される事が多いです。
以上で「市販されている粘土類」の話を終わります。
① 機械的強度。
焼き上がった作品でも、何らかの原因で、使用中や食器洗い、運搬途中で亀裂が入ったり、
縁が欠ける事も起こります。「焼き物は壊物」とも言いますので、壊れるのは宿命かも知れま
せん。しかし強い力が掛かった訳でも無いのに、壊れる事もあります。同じ衝撃であっても、
破損する物と、無事な物があります。その違いは機械的強度に左右されます。多くの場合、
焼きの甘さに関係する事が多いのですが、素地に問題がある場合もあります。
ⅰ) 焼きの甘さに関係する。
焼成温度が高い程、土は強く焼き締まり密度も増しますので、機械的強度が増す事になります
施釉した作品であれば、釉がしっかり熔け硬質なガラス質になりますので、更に強度増ます。
ⅱ) 素地の焼き締まりは温度以外に、素地の構成成分によっても異なります。
それ故、素地の構成成分を変える事で、機械的強度を増す事ができます。
一般に細目の土よりも、粒子の粗い土の方が、焼き締まりが弱く、衝撃に弱い傾向にあります
但し、微粉末された石英を多く含む素地では、焼成で強い内部応力が掛り易いですので、
何らかの原因で、突然「ひび」や「割れ」が入る場合がありです。
更に、制作時に土を良く叩き締め、密度を増す事も大切な作業です。仕上げで縁を皮などで
拭き締めると、一層縁の割れを防ぐ事が出来ます。
ⅲ) 釉が熔け不足の場合も、機械的強度は弱くなります。
釉は完全に熔け切った状態で、釉の内部まで均一なガラス状態になります。熔け切ていない
場合、表面は強いガラス質ですが、内部では化学的に不安定なガラス質になり、強度も弱く
なります。場合によっては、ガラスの材料が粒子状態で残っている場合もあります。多くの
場合熔け切っていない釉はマット状に成る事が多いですので、光沢のでる釉がマット状に焼き
上がる場合には、釉の熔け不足と思って間違いありません。
② 熱的強度。
土鍋など特殊な用途の物以外では、陶磁器は急激な温度変化に耐えられない場合があります。
特に煮沸する容器や、直火に掛ける物や電子レンジなどでは、注意が必要です。
素地その物に原因がある物と、作品の形状に起因する場合があります。
ⅰ) 素地その物に原因がある場合。
a) 石灰成分の多い素地では、急激な温度変化で作品が割れる恐れが大きいです。
骨灰を多く含む素地(骨灰磁器など)では、急激な温度変化に弱い物です。
b) 熱膨張率が大きな素地では、危険が増大します。
素地が膨張収縮する事で、作品にストレスが繰り返しかかる事で、熱破壊が生じます。
熱膨張率を小さくするには、ペタライト等リチウム鉱物を含む素地を用いる事です。
例えば粘土60%に、ペタライト40%の素地を使うと良い結果が得られます。土鍋用の素地
にはペタライトが入っている物が多いです。又土鍋用の釉にもペタライトが混入されてい
ます。
c) 石灰成分を含まない、粘土質で多孔性のある素地(素地の密度が小さい)は熱的変化に
強いです。
ⅱ) 作品の形状に起因する場合。
a) 熱が部分的に集中しない形にすれば、急激な熱変化に強くなります。
火(炎)の当たる底部に角張った部分があると、熱はその一点に集中し易くなり、熱破壊が
起こり易くなります。即ち、土鍋などは底全体に熱が均一に伝導する緩やかなカーブを設
ける事です。
b) 熱伝導が悪い素地の場合も、急激な熱変化に弱いです。
熱伝導は、作品の形状と素地の両方に関係します。即ち、緻密な焼き固まった素地では、
熱伝導が悪く、急激な熱変化で簡単に破壊される事が多いです。
以上で「市販されている粘土類」の話を終わります。