陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。経験者であれば、手順の理由をある程度理解していて、手順を誤っても
カバーできますが、慣れない方はどんどん誤りが増幅され、手におえなくなり易いです。
手順はある意味その人の身に付いたリズムと見る事もできます。物事がスムーズに運ばれる為には、
リズムに載る事も大切です。一々次の工程を意識しなくても、自然と行動に移せる程度に慣れるまで
練習を続ける事が早道になります。
具体的に、陶芸に対する手順とはどの様な事でしょうか?
1) 全体の手順
陶芸作業は、以下の手順を踏んで作業を進めるのが一般的です。
勿論、人によっては、以下に述べる通りとは限りませんが、その人が何らかのトラブルが発生
しないので有れば、その人の手順で物事が進めても何ら問題になりません。
① 陶芸の作業の手順。
成形(轆轤、手捻り、鋳込み、その他)-> 乾燥 -> 窯詰めー> 素焼き -> 施釉
窯詰め -> 本焼き ー> 窯出し
但し、焼き締め陶の様に、素焼きや施釉せずに、即本焼きの方法もあります。
個々の作業にも手順が存在します。
② 轆轤作業は特に手順を大切にしますので、轆轤を例にとって述べます。
轆轤は以下の手順を踏んで作業を進める必要があります。
(但し、私流です。他の人とは異なるかも知れません。)
ⅰ) 作りたい作品の形、大きさを決める。又、作品に施す装飾も考えておく必要があります。
但し、轆轤では円形の作品は得意ですが、四角形や不定形等は、轆轤以外の何らかの手段を
講じなければなりません。轆轤で各パーツを作り、組み合わせて作品にする場合には、
各パーツまで形を分解し、手順良く作る必要があります。
ⅱ) 土の準備(使用する粘土を決め、必要量を集める。)
「一土、二焼き、三細工」と言われる程、使う土を吟味する必要があります。
土の種類は無限と言って良い程存在し、陶芸材料店にも数十種類あり、市販されています。
作品の種類や細工によって、土の種類を変える事は理想的な事です。
但し、多くの方は常日頃使う土は、おおよそ決っている事が多いです。
ⅲ) 使用する粘土の空気(気泡)を抜く為に、土練をしておく必要があります。
一般的には手練(菊練)又は土練機(真空)で行います。
ⅳ) 轆轤作業の用具を揃える。
水桶、竹へら、なめし皮、トンボ(スケール、コンパス)、スポンジ、弓、切糸、その他。
③ 成形の手順
ⅰ) 轆轤上の中央に、土を据え密着させる為、土を強く両手で叩く。土の裾野から水が入り
込まな様に轆轤に密着。密着が不十分であれば、作業中に土が動き、作品を作る事が出来
ません。
ⅱ) 土殺しを行う。(センター出し)
a) 先ず、両手に水を付け、粘土を濡らしながら、泥(ドベ)を出しをします。
轆轤を回転させながら、両手で粘土の表面を下か上に撫ぜ、泥を出します。
轆轤の回転はやや速め、手の移動はゆっくり、粘土の頂点まで移動させます。最低三回
撫上げます。強く押し付ける必要はありません。水不足に成らない様に、気を付けます。
(毎回手に水を付ける事)
b) 土殺しとは、使用する粘土を轆轤の中心に据える事です。
この作業は轆轤作業で最も重要な事とも言えます。(特に初心者には)
轆轤の中心に載っていないと、土の重心がずれ、綺麗な回転になりませんし、次に行う
土の中心に穴を掘り込んだ際、周囲の壁の厚みに狂いが生じます。これは又土を上に薄く
伸ばした際、高さの狂いと成って現れます。
c) 土殺しの実務とは。
両手の掌(てのひら)又は小指の付け根で土を挟み込み、土の中心に向かって力を加え、
下から上に両手を挙げていきます。途中で手が止まると、その部分でネジ切れる恐れもあり
ます。土を高く山形にします。高ければ高い程良いと言われています。その際両肘は太ももに
固定し、両手が「ぶれる」のを防ぎます。(延べ上げ)
土の天辺に凹みが出来るのは、力が土の中心まで届かず、周囲の土のみが上に伸びた結果で
力不足が原因です。次に右手の親指の付け根を、上記山形の頂き付近を抱え込み、左斜め
方向に押し倒す様にして、手を下に下ろしていきます。(轆轤右回転の延べ下げ)その際
右手と左手で土の円周を押さえ込み、綺麗な外周を作りだします。一度では綺麗に成りません
ので、3回程繰り返します。この際にも水切れを起こさない様に、毎回手に水を付けて行います。
◎ 土殺し終了の確認は、轆轤上の土を左で抱え込み、手が「ぶれなければ」終了となります
ⅲ) 作品の底を作る。
a) 土の量が多い時は両手の親指で、少ない時は左手の親指で穴を掘り込んでいきます。
その際、肘は太ももにしっかり固定します。親指が届かなく成ったら、右手中指一本で堀
進みます。途中水切れになりますので、指で水を掬い穴に流し込みます。
b) 底の厚みは高台の高さによって左右されます。一般に輪高台や碁笥底高台など削り
高台が多いですので、最低でも10mm程度残します。ベタ高台の場合は5~8mm程度
底の厚みを計る針等があれば便利です。釘と割り箸で作る事が出来ます。
c) 底の内側を平らに広げる。
使用時に底の内側が見える食器等は、綺麗に作る必要があります。袋物と呼ばれる作品は
内側の底は見えませんが、綺麗に作った方が良いでしょう。特に食器の場合、中央がやや
凹むのは良いのですが、中央が盛り上がった場合には、残り汁が輪状に残り、見苦しく
なります。
ⅳ) 土を上に伸ばす。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。経験者であれば、手順の理由をある程度理解していて、手順を誤っても
カバーできますが、慣れない方はどんどん誤りが増幅され、手におえなくなり易いです。
手順はある意味その人の身に付いたリズムと見る事もできます。物事がスムーズに運ばれる為には、
リズムに載る事も大切です。一々次の工程を意識しなくても、自然と行動に移せる程度に慣れるまで
練習を続ける事が早道になります。
具体的に、陶芸に対する手順とはどの様な事でしょうか?
1) 全体の手順
陶芸作業は、以下の手順を踏んで作業を進めるのが一般的です。
勿論、人によっては、以下に述べる通りとは限りませんが、その人が何らかのトラブルが発生
しないので有れば、その人の手順で物事が進めても何ら問題になりません。
① 陶芸の作業の手順。
成形(轆轤、手捻り、鋳込み、その他)-> 乾燥 -> 窯詰めー> 素焼き -> 施釉
窯詰め -> 本焼き ー> 窯出し
但し、焼き締め陶の様に、素焼きや施釉せずに、即本焼きの方法もあります。
個々の作業にも手順が存在します。
② 轆轤作業は特に手順を大切にしますので、轆轤を例にとって述べます。
轆轤は以下の手順を踏んで作業を進める必要があります。
(但し、私流です。他の人とは異なるかも知れません。)
ⅰ) 作りたい作品の形、大きさを決める。又、作品に施す装飾も考えておく必要があります。
但し、轆轤では円形の作品は得意ですが、四角形や不定形等は、轆轤以外の何らかの手段を
講じなければなりません。轆轤で各パーツを作り、組み合わせて作品にする場合には、
各パーツまで形を分解し、手順良く作る必要があります。
ⅱ) 土の準備(使用する粘土を決め、必要量を集める。)
「一土、二焼き、三細工」と言われる程、使う土を吟味する必要があります。
土の種類は無限と言って良い程存在し、陶芸材料店にも数十種類あり、市販されています。
作品の種類や細工によって、土の種類を変える事は理想的な事です。
但し、多くの方は常日頃使う土は、おおよそ決っている事が多いです。
ⅲ) 使用する粘土の空気(気泡)を抜く為に、土練をしておく必要があります。
一般的には手練(菊練)又は土練機(真空)で行います。
ⅳ) 轆轤作業の用具を揃える。
水桶、竹へら、なめし皮、トンボ(スケール、コンパス)、スポンジ、弓、切糸、その他。
③ 成形の手順
ⅰ) 轆轤上の中央に、土を据え密着させる為、土を強く両手で叩く。土の裾野から水が入り
込まな様に轆轤に密着。密着が不十分であれば、作業中に土が動き、作品を作る事が出来
ません。
ⅱ) 土殺しを行う。(センター出し)
a) 先ず、両手に水を付け、粘土を濡らしながら、泥(ドベ)を出しをします。
轆轤を回転させながら、両手で粘土の表面を下か上に撫ぜ、泥を出します。
轆轤の回転はやや速め、手の移動はゆっくり、粘土の頂点まで移動させます。最低三回
撫上げます。強く押し付ける必要はありません。水不足に成らない様に、気を付けます。
(毎回手に水を付ける事)
b) 土殺しとは、使用する粘土を轆轤の中心に据える事です。
この作業は轆轤作業で最も重要な事とも言えます。(特に初心者には)
轆轤の中心に載っていないと、土の重心がずれ、綺麗な回転になりませんし、次に行う
土の中心に穴を掘り込んだ際、周囲の壁の厚みに狂いが生じます。これは又土を上に薄く
伸ばした際、高さの狂いと成って現れます。
c) 土殺しの実務とは。
両手の掌(てのひら)又は小指の付け根で土を挟み込み、土の中心に向かって力を加え、
下から上に両手を挙げていきます。途中で手が止まると、その部分でネジ切れる恐れもあり
ます。土を高く山形にします。高ければ高い程良いと言われています。その際両肘は太ももに
固定し、両手が「ぶれる」のを防ぎます。(延べ上げ)
土の天辺に凹みが出来るのは、力が土の中心まで届かず、周囲の土のみが上に伸びた結果で
力不足が原因です。次に右手の親指の付け根を、上記山形の頂き付近を抱え込み、左斜め
方向に押し倒す様にして、手を下に下ろしていきます。(轆轤右回転の延べ下げ)その際
右手と左手で土の円周を押さえ込み、綺麗な外周を作りだします。一度では綺麗に成りません
ので、3回程繰り返します。この際にも水切れを起こさない様に、毎回手に水を付けて行います。
◎ 土殺し終了の確認は、轆轤上の土を左で抱え込み、手が「ぶれなければ」終了となります
ⅲ) 作品の底を作る。
a) 土の量が多い時は両手の親指で、少ない時は左手の親指で穴を掘り込んでいきます。
その際、肘は太ももにしっかり固定します。親指が届かなく成ったら、右手中指一本で堀
進みます。途中水切れになりますので、指で水を掬い穴に流し込みます。
b) 底の厚みは高台の高さによって左右されます。一般に輪高台や碁笥底高台など削り
高台が多いですので、最低でも10mm程度残します。ベタ高台の場合は5~8mm程度
底の厚みを計る針等があれば便利です。釘と割り箸で作る事が出来ます。
c) 底の内側を平らに広げる。
使用時に底の内側が見える食器等は、綺麗に作る必要があります。袋物と呼ばれる作品は
内側の底は見えませんが、綺麗に作った方が良いでしょう。特に食器の場合、中央がやや
凹むのは良いのですが、中央が盛り上がった場合には、残り汁が輪状に残り、見苦しく
なります。
ⅳ) 土を上に伸ばす。
以下次回に続きます。