今まで何度か釉薬(以下釉といいます)に付いて述べてきていますが、今回は別の視点から
お話したいと思います。但し、以前にお話した事と、重複する事も多いと思いますがご了承
下さい。
現在の焼き物の大部分は、焼締陶器を除いて、釉が施されています。それにはそれなりの
理由があるからです。
1) 施釉する利点とは。
① 釉とは何か?
ⅰ) 陶磁器の素地の表面を覆うガラス質の物です。ガラス質の材料に熔融剤を添加し
高温で熔融し薄い皮膜で密着させ、素地の弱点(欠点)を改善する働きをさせます。
釉の厚みは釉の種類や、施釉の仕方によって異なります。1mm以下~数mmが多いです
尚、一般のガラス(食器類や窓ガラス等)との違いは、釉には大量のアルミナ成分が
含まれ点です。釉そのもにアルミナ成分が少ない場合でも、焼成中に素地からアルミ
ナ成分が釉の方に溶け出しアルミナ成分が増えると言われています。
又、ガラスは一定の結晶の構造や、融解温度を持たない為、物理的には固体では無く、
液体に分類されています。但し、ガラスは結晶ではありませんが、添加した金属類が
ガラス内で結晶を起こす、結晶釉は存在します。
ⅱ) 素地と釉の違いとは?
両方の原料(素材)は、おおよそ同じ物です。但し、軟化する温度(融点)に差が
あります。その差は100℃以上が必要です。その為、釉には熔融剤(アルカリ成分)
が多く含まれています。
又同じ様な素材である為に、熱化学反応を起こし密着性も良くなります。
② 釉を施す利点とは?
ⅰ) 素地の機械的強度を増します。
粒子の粗い素地では、多孔性がありますので、外力に対して脆い(もろい)感じが
あります。
釉はその多孔に入り込み、孔を塞ぐ働きで強度が増します。又、ガラス本体は素地
より固く、表面を覆う事で、傷などに対して更に硬固になります。
ⅱ) 液体の透過を防ぎます。
勿論、焼成温度によって透水性も左右されますが、しっかり焼成された作品は不透
過性のガラス質で覆われますので、水漏れが少なくなります。但し、貫入等のある
場合には、その隙間を通して水漏れを起こす事もあります。
ⅲ) 化学的強度が増し、汚れにも強くなります。
化学的強度とは、酸やアルカリ等から表面を守る力です。ガラスはこの様な物資うから
化学反応を起こさず、安定した状態を取ります。但し、強アルカリに反応する事もあり
ます。又、表面を平滑にしますので、汚れに対しても強く、例え汚れても、洗剤などで
容易に荒い流す事が出来ます。
ⅳ) 釉の最大の利点は、装飾性がある事かも知れません。
即ち、希望の色で表面を飾る事が可能になります。金属類を添加する事で、ガラスに色
を付ける事が出来ます。金属の種類によってその色も変化します。又、光沢がある物や
光沢の無い物(マット)も選ぶ(作る)事も可能です。
③ 釉は自分で調合する(作る)事ができます。
釉に付いての基礎的な知識があれば、比較的容易に作る事が可能です。更に、その材料
も入手可能です。勿論、多くの試行錯誤の末完成させた物は、そのレシピは未公開です
が、一般的な釉では、書籍やネット等で公開されている物も多いですので、参考にする
事も可能です。又、既存の釉をある程度改良する事も出来ます。
以下次回に続きます。
お話したいと思います。但し、以前にお話した事と、重複する事も多いと思いますがご了承
下さい。
現在の焼き物の大部分は、焼締陶器を除いて、釉が施されています。それにはそれなりの
理由があるからです。
1) 施釉する利点とは。
① 釉とは何か?
ⅰ) 陶磁器の素地の表面を覆うガラス質の物です。ガラス質の材料に熔融剤を添加し
高温で熔融し薄い皮膜で密着させ、素地の弱点(欠点)を改善する働きをさせます。
釉の厚みは釉の種類や、施釉の仕方によって異なります。1mm以下~数mmが多いです
尚、一般のガラス(食器類や窓ガラス等)との違いは、釉には大量のアルミナ成分が
含まれ点です。釉そのもにアルミナ成分が少ない場合でも、焼成中に素地からアルミ
ナ成分が釉の方に溶け出しアルミナ成分が増えると言われています。
又、ガラスは一定の結晶の構造や、融解温度を持たない為、物理的には固体では無く、
液体に分類されています。但し、ガラスは結晶ではありませんが、添加した金属類が
ガラス内で結晶を起こす、結晶釉は存在します。
ⅱ) 素地と釉の違いとは?
両方の原料(素材)は、おおよそ同じ物です。但し、軟化する温度(融点)に差が
あります。その差は100℃以上が必要です。その為、釉には熔融剤(アルカリ成分)
が多く含まれています。
又同じ様な素材である為に、熱化学反応を起こし密着性も良くなります。
② 釉を施す利点とは?
ⅰ) 素地の機械的強度を増します。
粒子の粗い素地では、多孔性がありますので、外力に対して脆い(もろい)感じが
あります。
釉はその多孔に入り込み、孔を塞ぐ働きで強度が増します。又、ガラス本体は素地
より固く、表面を覆う事で、傷などに対して更に硬固になります。
ⅱ) 液体の透過を防ぎます。
勿論、焼成温度によって透水性も左右されますが、しっかり焼成された作品は不透
過性のガラス質で覆われますので、水漏れが少なくなります。但し、貫入等のある
場合には、その隙間を通して水漏れを起こす事もあります。
ⅲ) 化学的強度が増し、汚れにも強くなります。
化学的強度とは、酸やアルカリ等から表面を守る力です。ガラスはこの様な物資うから
化学反応を起こさず、安定した状態を取ります。但し、強アルカリに反応する事もあり
ます。又、表面を平滑にしますので、汚れに対しても強く、例え汚れても、洗剤などで
容易に荒い流す事が出来ます。
ⅳ) 釉の最大の利点は、装飾性がある事かも知れません。
即ち、希望の色で表面を飾る事が可能になります。金属類を添加する事で、ガラスに色
を付ける事が出来ます。金属の種類によってその色も変化します。又、光沢がある物や
光沢の無い物(マット)も選ぶ(作る)事も可能です。
③ 釉は自分で調合する(作る)事ができます。
釉に付いての基礎的な知識があれば、比較的容易に作る事が可能です。更に、その材料
も入手可能です。勿論、多くの試行錯誤の末完成させた物は、そのレシピは未公開です
が、一般的な釉では、書籍やネット等で公開されている物も多いですので、参考にする
事も可能です。又、既存の釉をある程度改良する事も出来ます。
以下次回に続きます。