わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

手捻(てびねり)1(特徴)

2018-06-16 22:05:34 | 手捻り陶芸
皆様方には既にご存知と思われますが、作品を作る方法には、大きく分けて次の方法があり

ます。

1) 手捻りによる方法。

2) 轆轤(ろくろ)を使用して作る方法。

3) 鋳込みによる方法。

 歴史的には、手捻りが一番古く(我が国の縄文弥生土器類など)、次いで轆轤、鋳込みの

 順です。近年電動轆轤が使用される事が多くなりましたが、作る方法の違いによって、

 作品にも作り方の特徴が現れ易いです。

 特に一度に同じような形の作品を、効率良く多く作る場合には、電動轆轤や鋳込みの方法を

 取る場合が多いです。

 尚、電動轆轤などを扱う為には、それなりの練習や道具が必要になります。

 それに対し手捻りは、陶芸の初心者は勿論、小さな幼児でさえ自由に好みの作品を作る事が

 可能な方法です。 作り手の意思(癖や指跡などの特徴)がしっかり出るのも手捻り陶芸です

 但し、同じ物を複数個作るのは苦手です。時間が掛り過ぎる以外に、全く同じ形に成り難い

 です。

 手捻りは轆轤よりも一段低く見られがちですが、手捻りは轆轤と同等又はそれ以上の作品を

 作る事が可能です。轆轤が薄く速く作れる方法なのに対し、手間隙が掛り、若干重く感じに

 成り易い欠点が出易いです。但し、仕上げとしての削り作業がしっかり施して有れば、電動

 轆轤と同程度に薄くて軽い作品を作る事は可能です。

1) 手捻りとは?

 電動轆轤や鋳込み等の方法以外で、主に手や指を使って作品を作る方法です。それ故、

 粘土の他に簡単な用具(例えば、竹へら、剣先、切糸など)と少しの作業する処さえ

 あれば有れば、直ぐにでも、作品作りに取り掛かる事ができます。

 尚、手捻りの技術が轆轤の技術と重なる部分は少なく、手捻りの技術が電動轆轤に

 役立つ事は少ないです。同様に電動轆轤に精通したからと言って、手捻りに役立つ

 事は少ないです。それ故一般的には、手捻りから入り、電動轆轤に進む事が多いですが

 これはあくまで教える側の都合でしかありません。どちらから入っても何ら問題ありま

 せん。手捻りの特徴を記せば次の様になります。

 ① 手捻りで作れる作品の種類は無限にありまし。

  電動轆轤は主に円筒又は円錐などの丸い形の物が、基本形に成っています。勿論それらの

  組み合わせや、丸以外に変形する事は可能ですが、基本は丸(円形)です。手捻りの場合

  丸は勿論角形や不定形(いびつ形)等、どの様な形の物も作る事ができます。

 ② 作品の大きさもほとんど限定されません。勿論窯で焼く事を前提にしますので、窯に

  入る程度の大きさになります。陶壁の様な巨大な面積を有する作品でも、窯に入る

  程度の大きさに分割し焼成後に組み立てる事で、大きな作品に仕上げる事が可能です。

 ③ 電動轆轤の様に多量の水を使う事も無ない為、素地のヘタリも少なく、時間的な制限も

  少なくなります。それ故、一気に作り上げる必要も無く、時間を掛けて積み上げる事で

  電動轆轤作業時よりも、大きな作品が作れます。但し、土を継ぎ足す為には、それなりの

  知識が必要です。

  電動轆轤が一発勝負なのに対し、制作途中で変更や修正が割合容易なのも、手捻りの

  特徴です。

 ④ 作り方も色々な方法があります。

  ⅰ)玉作り。 ⅱ)紐作り。 ⅲ)タタラ(板)作り。 ⅳ)刳り貫き作り。ⅴ)彫刻方式。

  ⅵ) 彫塑方式。ⅶ)その他、上記技法を組合わせて作品を作る事もあります。

  その後の各種装飾加工等も、轆轤作業よりも無限に広がります。

 次回より、これらの方法に付いて、順次述べたいと思います。
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