前回からの続きです。
5 薪窯
① 薪窯とは、燃料が薪(まき)で主に赤松を使っています。但し、松脂を多く含む赤松は
高価ですので、窯が高温に成ってから使用し、低温の場合には、他の薪(樹木は問わず)
を使います。
② 陶芸の世界では、多くの人が薪窯の作品に魅せられています。電気やガス窯では決して
出来ない色艶のある色合いになるからです。勿論、電気やガス窯で工夫すれば薪窯の作品
に類する作品に焼き上がる事も可能です。
但し、近年薪で焼成する事は、かなり困難になっています。それは、環境の問題だけでな
く、費用(薪代)と労力(焼成時間が長くなる=数日を要する)がガスや電気に対し、桁
違いに大きいからです。一般に薪窯は現地で制作します。経験のある人であれば、耐火
レンガを積み上げて制作する事が出来ますが、窯を築く職人に依頼して築く事が多いです
勿論築く場所も環境も含めて慎重に選ぶ必要があります。当然都市部では消防法で許可さ
れません。
③ 窯も他の窯より大型になります。登り窯(連房式)が著名ですが、単房の物もあります
ガスや灯油、電気の無い頃の窯は、全て薪窯になりますので、古い時代の作品は全て薪で
焼成しています。薪窯を個人で持つ事は難しく、多くは共同窯が多いです。
④ 薪窯で焼成したい方は、窯の持ち主に依頼して、窯に入れて貰うか、窯を借りる事にな
ります。窯を貸してくれる所(勿論有料で)も探せば見つかると思います。
場合によって薪の調達から窯の炊き方も指導してもらえる所もあり、初心者のグループで
も薪窯で作品を焼く事も出来ます。
⑤ 薪窯の窯詰めには、さや(匣鉢)に収めて焼く方法と、裸で窯詰めする方法があります
即ち、薪(赤松)の灰が作品に降り掛かる方法と、灰が被らなくする方法です。
現在では後者の場合では、薪窯よりも電気窯の方が向いています。但し藁による火襷
(たすき)では匣鉢に収める事が多いです。
又、作品に釉を掛ける場合と、掛けない方法があります。特に後者を「焼き締め」と言い
ます。釉を掛けない場合には、必ずしも素焼きを行う必要はありません。
焼き締め陶器の魅力は何といっても、灰被りの状態によってその表情が大きく変化し、
一つとして同じ物が存在し無い事です。但し、自然の降灰のみに頼るだけでなく、予め
作品の一部に灰を振り掛ける方法をとる方もいます。
⑥ 薪窯は必ずしも成功裡に終わるとは限りません。むしろ焼き不足や焼斑(むら)等不
完全な焼成も多く見られます。
一番の問題は、十分温度が上昇しない事です。燃料(薪)を闇雲に投入しても温度は上昇
しません。むしろ不完全燃焼を起こし、温度が下がる事さえ起こりえます。炎の色具合や
空気量をこまめな調整(煙突の引きの具合)によって、温度上昇に持って行く必要があり
ます。その他、窯詰めの方法や、窯を炊く季節や薪の乾燥具合など多くの要素も関係して
きますので、薪窯に挑戦される方は十分な準備が必要になります。当然他の窯よりも費用
と労力が多く掛かる事になります。
以下色に付いての話は、次回に続きます。
5 薪窯
① 薪窯とは、燃料が薪(まき)で主に赤松を使っています。但し、松脂を多く含む赤松は
高価ですので、窯が高温に成ってから使用し、低温の場合には、他の薪(樹木は問わず)
を使います。
② 陶芸の世界では、多くの人が薪窯の作品に魅せられています。電気やガス窯では決して
出来ない色艶のある色合いになるからです。勿論、電気やガス窯で工夫すれば薪窯の作品
に類する作品に焼き上がる事も可能です。
但し、近年薪で焼成する事は、かなり困難になっています。それは、環境の問題だけでな
く、費用(薪代)と労力(焼成時間が長くなる=数日を要する)がガスや電気に対し、桁
違いに大きいからです。一般に薪窯は現地で制作します。経験のある人であれば、耐火
レンガを積み上げて制作する事が出来ますが、窯を築く職人に依頼して築く事が多いです
勿論築く場所も環境も含めて慎重に選ぶ必要があります。当然都市部では消防法で許可さ
れません。
③ 窯も他の窯より大型になります。登り窯(連房式)が著名ですが、単房の物もあります
ガスや灯油、電気の無い頃の窯は、全て薪窯になりますので、古い時代の作品は全て薪で
焼成しています。薪窯を個人で持つ事は難しく、多くは共同窯が多いです。
④ 薪窯で焼成したい方は、窯の持ち主に依頼して、窯に入れて貰うか、窯を借りる事にな
ります。窯を貸してくれる所(勿論有料で)も探せば見つかると思います。
場合によって薪の調達から窯の炊き方も指導してもらえる所もあり、初心者のグループで
も薪窯で作品を焼く事も出来ます。
⑤ 薪窯の窯詰めには、さや(匣鉢)に収めて焼く方法と、裸で窯詰めする方法があります
即ち、薪(赤松)の灰が作品に降り掛かる方法と、灰が被らなくする方法です。
現在では後者の場合では、薪窯よりも電気窯の方が向いています。但し藁による火襷
(たすき)では匣鉢に収める事が多いです。
又、作品に釉を掛ける場合と、掛けない方法があります。特に後者を「焼き締め」と言い
ます。釉を掛けない場合には、必ずしも素焼きを行う必要はありません。
焼き締め陶器の魅力は何といっても、灰被りの状態によってその表情が大きく変化し、
一つとして同じ物が存在し無い事です。但し、自然の降灰のみに頼るだけでなく、予め
作品の一部に灰を振り掛ける方法をとる方もいます。
⑥ 薪窯は必ずしも成功裡に終わるとは限りません。むしろ焼き不足や焼斑(むら)等不
完全な焼成も多く見られます。
一番の問題は、十分温度が上昇しない事です。燃料(薪)を闇雲に投入しても温度は上昇
しません。むしろ不完全燃焼を起こし、温度が下がる事さえ起こりえます。炎の色具合や
空気量をこまめな調整(煙突の引きの具合)によって、温度上昇に持って行く必要があり
ます。その他、窯詰めの方法や、窯を炊く季節や薪の乾燥具合など多くの要素も関係して
きますので、薪窯に挑戦される方は十分な準備が必要になります。当然他の窯よりも費用
と労力が多く掛かる事になります。
以下色に付いての話は、次回に続きます。