わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

騙しのテクニック6 古色付け 5 

2014-06-22 21:59:38 | 騙しのテクニック
3) 伝世品の経年変化

 ② 伝世品の経年変化の特徴。

  ) 汚れと染み(しみ)について。

    伝世品には必づと言って良い程、染みと貫入の汚れ、地肌や釉面の色付き、場合に

    よっては、雨漏りと呼ばれる汚れ(よごれ)が有ります。但し磁器製品には少なく、陶器

    で多く見られる現象です。

   a) 汚れの種類。

    イ) 茶渋は、湯呑みや抹茶々碗に多く見れれますが、漂白剤などの洗剤を使い、比較的

      容易に、取り除く事が可能です。

    ロ) 油汚れは、油入に使われていた器を、徳利などの容器として使用した場合に起こり

      ます。 この場合、漂白剤では完全に取り除く事は出来ません。例え一時的に匂いが

      消えた様に見えても、お燗(かん)をすると、再び臭う物です。

    ハ) 雨漏り(あまもり)は、不定形の染みで、釉だけでなく胎土を通して表面まで出て

      きた汚れです。特に萩茶碗の様に、砂気を含む胎土や、焼きの甘い作品など吸水性に

      富んだ作品に多く出る現象です。雨漏りは、長く使う事で徐々に現れます。

      雨漏りは「景色」の一部と見なされ、雨漏りの無い粉引きは、つまらない物と言う人も

      います。

      又、白化粧土は胎土より、色が染み易い為、粉引、刷毛目、三島などの作品に染みや

      雨漏りが発生し易いです。

    ニ) 経年変化により、器全体が変色する。

      細かい貫入全体に汚れが入ると、器全体の色が濃くなった様に見えてきます。

  b) 人為的に、汚れや染みを付ける。

     古く見える物が、必ずしも古い物とは限りません。むしろ、古く見える物ほど人為的な

     方法で処理した物で、本当に古い物はそれ程古くは見えない(古さを感じさせない)と

     言われています。

   イ) 濃い紅茶や煎茶の中に一週間も漬けておくだけで、数十年~数百年分の古色を付ける

     事が可能との事です。

   ロ) 茶渋を付ける方法に、透明な漆(うるし)を見込み部や茶巾擦り部に薄っすらと

     塗る方法があります。一般に茶渋は漂白剤で取り除けますが、漆では簡単に除去する

     事は出来ません。

   ニ) 雨漏りを付ける方法は、頻繁に使い込む事です。粉引茶碗などは、三年も使い込めば

      雨漏り状態を作り出せる場合があります。当然、胎土の違い、焼きの甘さ、化粧土の

      濃さと厚みなどによって差がでます。但し三年程度では、表面の化粧土には汚れが浸透

      しますが、胎土までは浸透しない為、自然の雨漏りとは、見た目で異なるそうです。

  c) 古色は、「新古や真偽の決め手」に成りません。

    古色は一般の人が思うほど以上に、簡単に付ける事ができます。

    茶渋などは、濡れた布で拭けば取れ易いですし、貫入の汚れや染みは漂白剤で取り除けます

    自然風化に見せかけるには、紙ヤスリで削ったり、弗化(フッカ)水素などの薬品で

    「カセ」を作り出す事が可能です。その他、煙で燻したり、土を擦り込めたりして、簡単に

    古色を付ける事が出来ます。それ故、古色に惑わされない事です。

4) 二度焼(二度窯、再焼成)に付いて。

以下次回に続きます。
      
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