外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(15)~イスタンブール2日目後半・海辺の黄昏編~

2020-05-19 05:26:24 | トルコ

 

 

海岸沿いで猫探しをし、エジプシャンバザールでドライフードを買い込んだ後、トラムに乗ってスルタナメット駅で降り、近くの商店で酒を買ってからホテルに帰ることにした。この界隈はバリバリの観光地だからか、酒屋があまりないので(スーパーもない)、以前来た時その辺のおっちゃんに聞き込みをして見つけたのだ。トルコでも「おじさん方式」は有効だ。

 

方向音痴なので少し迷ったが、比較的簡単に見つけられた。酒が買える店には「TEKEL(テケル)」と書かれた青い看板があるので見つけやすいのだ。狭い店内には他のお客はおらず、若い男性がレジにいた。見覚えのないトルコビールがあったので、それと安ワインを買う。

 

買ったのはこのビール。「VARIM(ヴァルム=私は存在する)」という、わりと自己主張強めの名前。味はよく覚えてないので、たぶん普通。

 

 

「これ下さい」と差し出すと、レジの男性はニヤリと笑って、「あなた、前にもうちに来たことあるでしょう。覚えてるよ」と言った。私は人の顔を覚えるのが非常に苦手なので相手を覚えていないが、相手は2年前に2,3回来ただけの私を覚えていたらしい。ホテルのスタッフの女性もそうだったが、彼らはなぜ私を覚えているのか。見た目はごく普通のうらぶれた中年女性だし、トルコ語を話す日本人女性はイスタンブールにはけっこういると思うのだが・・・この店では確か前回初めて入った時、単刀直入に「この店で一番安いワインを下さい」と頼んだんだが、そのせいかな?(それやわ) とにかく、異国の街で自分を知っている人がいるというのは嬉しいことである。せっかくなので、少しお喋りした。

 

彼はこの店の若旦那で、大学に行きたかったが、父親の意向で諦めて家業を継ぐことになったそうだ。経営は順調だが、店を任せられる人がいないのでなかなか休みを取れず、人間関係も色々あってストレスが溜まるとのことだった。前回の選挙で色々あった末に勝利が確定してイスタンブールの新市長に就任したイマモール氏について質問してみたら、「彼はいい市長だ。イスタンブールはこれから良くなっていくだろう。前の市長はドロボウだったからな」とのことだった。新市長に期待をかけているらしい。

私達が話している間に入ってきた常連客のおじさまは、「トルコでは、家賃を払わなくて済めば人生は素晴らしいが、払わなければいけない場合は最悪だ。不動産を持っている者は安泰なんだよ」と言いつつ去って行った。不動産はトルコに限らず重要だが、日本の場合、不動産を持っていても人生が素晴らしいとは限らないよな。

若旦那の仕事の関係者らしいシリア人の青年もやってきたので、アラビア語で少しおしゃべりする。ああ、懐かしいシリア方言・・・(うっとり)。彼はトルコ語も英語も話せ、理知的で穏やかな好青年だった。娘の婿にしたいタイプだ(娘おらんけど)。トルコに滞在するシリア人は、この当時非常に厳しい状況にあり、在留登録に問題がある(登録地と住所地が違う等)人々がイスタンブールから退去させられたりしており、中にはシリアに強制送還される人々もいたと報道されていた。それについて聞くと、「僕はイスタンブールの滞在許可を持っているが、更新できるかどうかはわからないから、安心できない」とのことだった。シリア難民の受難は、どこに行っても続くのだ。シリア人だけではなく、難民は皆そうだが。

 

店を出てから、売店でホットドッグを買ってホテルでビールと共に食べてから昼寝した。チュニジアの最終日あたりから風邪気味だったのだが、無理やり出歩いているうちに悪化したらしく、くしゃみや鼻水が止まらなくなった。しかし出かけないわけにはいかないので、夕方にはまだ出かける。観光客ライフって、大変だなあ・・・

 

今度はフェリーに乗ってアジア側のカドゥキョイに渡り、海岸沿いでまた猫を探しつつ夕陽を眺めることにした。フェリーの屋上部分のオープンスペースに座って海を眺めていたら、近くに座っていた比較的露出度の高い服装のトルコ人女性が、そばにいた男性にちょっかいを出されて激怒した様子で、彼を睨みつけながら「礼儀知らずなことをするな!身の程を知りなさい!」(文字通りの訳)と怒鳴っていた。トルコの女の人は強いのだ。そして、コミュニケーション力が高い気がする。この日、別の若い女性がやはり通りがかりの青年に何か言われて怒り、「私に対してまともな口の利き方をしなさいよ!」と言い返しているのを見かけた。

 

フェリーを降りて、海岸沿いの岩場を歩く。9月の晴れた土曜日の夕暮れ時で、人出が多かった。

 

 

岩場は猫スポット

 

 

珍しい柄の子もいた。

 

 

ポーズをとってくれる子もいる。

 

 

こちらもモデルをしてくれたが、ボケてしまった・・・

 

 

モデル代のEU版ちゅ~る。

 

 

岩場には、夕陽が海に沈むのを眺めながら一人でタバコを吸ってぼうっとしているおばさまもいるし、ビールを飲んでいる若者のグループもいるし、もちろんカップルや家族連れもいた。イスタンブールの人たちは、日々の暮らしに疲れた時に海辺で息抜きができるから羨ましい。私も次回はビールを持ってきて、まったりくつろぎたい。

 

遠くの対岸に林立しているモスクのミナレットのシルエットがまたステキ。

 

 

すっかり日が暮れたので、またフェリーに乗って今度は新市街側のカラキョイに渡り、並んでいる魚料理のレストランの中で最も庶民的な店に入る。こういう店にはアルコールがないのが普通だ。

 

「カラキョイ・バルック・エヴィ」(カラキョイ魚食堂)

 

 

新鮮なイワシのフライ、美味しかった。少し残した分は持ち帰って、通りがかりの猫たちに振舞った。猫におすそ分けしやすいか否かを考えてメニューを選ぶ私。

 

 

途中でビールを買い足してからホテルに帰る。

 

 

買い足したのはトルコでライセンス生産されているツボルグ。安定の美味しさ。

 

 

今夜は早めに寝て、風邪を治さねば・・・

 

 

(続く)

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2 コメント

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旅の中の日常 (Zhen)
2020-05-19 22:13:12
Michiさん

今日の日記は、旅の中の日常を強く感じます。僕は、このような旅の中のやすらぎが好きです。もちろん、わくわくする非日常を旅に求める部分もありますが、どちらか1つを選ぶとしたら、僕は、やっぱり旅の中の日常ですね。

旅先で、「覚えているよ」と伝えられることは、うれしいことで、ついつい足繁く通うようになります、少なくとも僕は。

ところで、ご謙遜でしょうが、「うらぶれた中年女性」ってことはないでしょう。読者の夢を壊すような表現はダメですよ。(笑) やっぱり、キラリと輝く魅力的な女性だから、若旦那は、覚えていたに違いありません。それが証拠に常連のおじさまやシリア人好青年が、話の輪に入ってくるのですよ。

次の日記、楽しみにしています。

Zhen




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Zhenさんへ (michi)
2020-05-21 19:36:19
え~読者の夢・・・よくわかんないけど、じゃあご想像にお任せします~

イスタンブールは3か月滞在したことがあるし、何度も通っているので観光をすることもなく、旅と日常の間という感じの内容になりますね。

旅先で「覚えているよ」と言われたら、私も嬉しいのですが、その後「顔見知りになったから、あの店に行かなきゃ」という妙なプレッシャーを自分にかけてしまい、逆に行きづらくなったりします。ややこしい性格なので・・・
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