長男と電話で話すことがあり、ひと通り用件を話し終えた時、なぜか急に声を小さくした長男が言った。
「この間、不思議なことがあったんだ。心霊現象じゃないかと思う」
長男によると、家族で公園に遊びに行った帰り道、ランチを食べようと長男とお嫁さん、そして一歳の息子の三人で焼肉屋さんへ行ったそうだ。
通された席は窓側で、窓を横に向かいあって長男とお嫁さんが座り、窓を正面に見るかたちで取り付けたベビーチェアに息子が座ったそうだ。
料理がくるのを待っていると、しきりに息子が窓に向かって手を振る。
「何してるの?誰に手を振ってるの?」と聞いても手を振り続けるので、息子が見ている方向(窓)を見たところ、そこには誰もいない。
そして窓は引き戸で、換気のためか少し開いていたそうだ。
「そしたらさ、向こう側には誰もいないのに、開いていた窓が急に閉まったんだよ。これめっちゃ怖くない?」
息子は本当に怖そうだった。
「その窓、自動開閉式だったとか」と言ってみたが、息子曰く、普通の引き戸だったそうだ。
「で、これがどこかの幽霊だったと思ったらすごく怖いから、亡くなったひいおじいちゃんとひいおばあちゃんが、ひ孫に会いに来てくれたんだねと、、、奥さんとそういうことにしておこうと話したんだ」
その後、お店を出るまで一歳の孫は窓に向かって手を振ることはしなかったそうだ。(幽霊さん、いなくなったのかな?)
怖がる息子には言わなかったが、曽祖父母ではなくて、多分その辺りを彷徨っていらっしゃる御霊だったのではないだろうかと思う。
彷徨っている途中で、お店をふと覗き込んだら、かわいい幼児がいて、思わず手を振ってみたら、自分が見えているのか手を振りかえしてくれたという感じだろうか。
では窓が急に閉まったのはなぜだろう。
親たちが一斉に見たので、慌てて閉めたのかな?
そうなら身体がないのにすごいなと思う。
でもまさかとは思うが、孫が念力で閉めたのではないよね、、なんてことも浮かんだ。
お嫁さんによると、家はマンションの八階なのに、孫は誰もいないベランダに向かって手を振ることがよくあるそうだ。
長男も赤ちゃんだった頃、誰もいない方を見て、まるで誰かにあやされているかの様に手足をバタバタさせながら笑っていることがあったが、孫のように二歳近くになってからは、そのようなことはなかった。
でも孫もそのうち自我が芽生えると、見なくなるのかもしれないと思う。いつまでも見えていたら可哀想だしね。
ところでこのようなことは、今や超常現象ではなくて、当たり前に起こりうる事というように、世の中の意識が変わって来ているような気がしている。
不思議な体験談など昭和の時代であれば変人と思われるのではないかと、とても人前で口に出せなかったことが、今はYouTubeなどでたくさん出てくる。
良い時代になったなぁと思う。
そしてこれから将来は、超常現象(心霊現象)と言われるものも科学的に解明できる部分が出てくるのではないかと思う。
とはいえ、人はなぜ存在するのかとか、人生の意味とは?などは、もはや哲学なので、すべてが科学で明らかになることはないだろうが、このような面白い時代に生きることができたことは幸せだと思う。