バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

ヴァルを支えるもの

2009年06月20日 | アメリカde健康管理



昨日、職場のトイレで話し込んだ。

お相手は、ヴァル。
セールスのマネージャーをしているやり手の黒人女性。

彼女とは直接仕事を一緒にしたことがなかったが、
私がマネッジメントレポートを作成しているので
その関係で顔見知りになった。

決定的にもっとお互いを知るチャンスが後に現れた。

それはハニバニと私がコレステロールの数値の検査で病院に行って
待合室にいるときに、偶然隣に彼女が座っていたことだった。

こんなとき、待ち時間が結構あってもいいなと思う。

彼女とはハニバニも含めて話が弾み、
今までまず知ることはなかっただろう、彼女のことを知ることができた。

彼女の年はなんと51歳。
その事実を知って、私は速攻で血圧が上がりそうだった。

なぜならば、彼女は私よりもちょっとだけ年上かなと思っていたから。
若さの秘訣は何なんだろう。

数年前に夫を亡くし、
しばらくは南アフリカに長期の旅行をしていたこと

大学を卒業した息子が、今度同じ会社で働くころになったこと

最近ポタシアムの数値が低かったので再検査で今日ここに来てること

を、元気に語ってくれたのだった。

さて、その彼女を最近ずっと見かけなくて
昨日とっても久しぶりに見かけたのがトイレだったというわけだ。

「何だか非常に久しぶりですが、また長期でバケーションでしたか。」
と笑って聞いたら、

「違うのよ。病んで手術して、やっと退院してきたのよー。脳腫瘍だって。」

いきなり笑えなくなった私を知ってか知らずか
彼女は続ける。

「ちょっと前からね腕、肩、顔にかけて痺れがあってね、
病院に行ってたんだけどどのドクターもこれといって病名がわからなくて
それでDr.Wangに担当してもらったら、脳神経科に紹介状書いてくれてね
それで調べてもらったら脳腫瘍だって。
でね、場所がすっごい悪いんだってさ。手術がとっても難しいんだって。
だからここでは本格的な手術ができないから、
いずれはバージニア大学病院で大手術になるんだけど、それまでは
薬治療をしてねー。髪がね抜けちゃったのよー。わかる?
ケイエス、大丈夫?」

まるで「こないだね豚インフルエンザにかかったのよー」って言わんばかりの
口調ですごいことを目の前で語るヴァルに、
私は阿呆のように口をぱかんと開けて、ただ聞いていただけだった。

そんなことがあったなんて、知らなかったし、
だいいち彼女はいつも人と目があったら笑顔を返すような人で
あのスバラシイ容姿なので、彼女の「髪」がウィッグだと言われても
全くわからない。

内面が美しくて輝いている人っていうのは
外見なんてたいして問題にはならないほど、内側の美が勝っていると思う。

「何がヴァルをそう強く支えてるんですか。」と聞かずにはいられない。

「こう見えても、Up&Downがあるよ。やっぱり怖いしね。
でもね、1日1日の大切さがすっごくよくわかるようになったよー。
1日が24時間なんっつーのがね、惜しくて惜しくて。
ケイエスもしっかり笑いなさいよ。楽しくしてるのは良いことだからね。
あ、ミーティングの時間だ。」

そしてつい先週まで入院していた人には思えない足取りで
バタバタとトイレから去ろうとしていた矢先、
くるりと踵を返してこう言った。

「ハニバニ君、コレステロールはどうなってる?彼によろしくね。」

彼女がいなくなったトイレ。
何か一瞬にしてすごいものが目の前を通り過ぎてった様な感覚があった。

今も頭の中に脳腫瘍という病魔を抱えて、
ヴァルは生活している。

今日も彼女を見かけたが、いつもどおりの彼女だった。

エネルギーにあふれてて、人には笑顔を振りまき、
自分のことはさておき、人の健康の心配をする。

彼女の強さはどこからくるんだろう。

彼女を支えているものって何なんだろう。

こういうことがないと、自分がどれだけ健康で恵まれているかを
確認できなくて、そんな自分を恥じた。

「Everyday is miracle(毎日が奇跡)」
という言葉を繰り返す。

彼女が病魔と闘っていけますように。

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今日も楽しく生きましょう。

↓  ↓  ↓

いつもありがとう。



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