鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『夜叉ケ池』のお雪さまは、激しいなかにもおゆかしい・・・。

2012-07-30 22:53:06 | Weblog
くもりがちながら、暑さ続く。

夏になると毎年のように書きたくなってしまいます・・・『夜叉ケ池:泉鏡花・著』。
夏=旱(ひでり)。

今日のお題は、『夜叉ケ池』の科白(セリフ)ではなくて、『天守物語』(拙ブログ2012年5月18日/美青年のいる文学史⑤天上の二人『天守物語』をご参照下さい)の富姫の科白です。

妖魔同志のコネクションがあるみたいです。
『天守物語』、戦国時代末期頃、『夜叉ケ池』は、明治時代ですから、400年くらいのタイムラグがありますが、そこは、妖怪の世界ですから、人間の時間は、関係ないようです。

『夜叉ケ池』のお雪さまこと、白雪姫。
龍神のご先祖が、人間と約束をしたために、鐘楼の鐘を明け六つ暮れ六つ丑三つの3回、人間が突きつづける限り、夜叉ケ池から離れることができません。

白雪姫は、どうしても夜叉ケ池を離れて、恋人の白山剣ヶ峰、千蛇ヶ池の公達の処へ、お嫁に行きたいという事情があります。
人間の世界なら、婿養子?という手もありますが、千蛇ヶ池の公達も白雪姫と同じ立場。
彼が居場所を移すと白山剣ヶ峰は、水に沈んでしまうのです。
妖怪と言えども、いろいろなシガラミ、拘束などがあるのは、人間と同じなのかもしれません。

妖怪もどうやら恋をするようです。
恋文のやりとりもしているし。

恋しいひと(妖怪だけれど)と自分を隔てるご先祖の約束の鐘楼。
この鐘楼さえなければ、今すぐにでも彼(妖怪だけれど)と添い遂げられるのに・・・。

白雪姫は、自らを縛る鐘楼を破壊しようとしますが、鐘楼を守る晃とその恋人の百合のために、思いとどまります。

富姫が言うように、
『夜叉ケ池のお雪さまは、激しいなかにも、おゆかしい・・・。』
のです・・・。

映画・舞台とも、坂東玉三郎さんの当たり役。
映画では、白雪姫、百合と二役でしたが、白雪姫の美しさは、もう妖しい美しさでした。

因みに白雪姫の恋人・千蛇ケ池の公達は、名前だけしか登場しません・・・出てくればいいのに!
きっと、美男だよ~~~ん(妖怪ですけど・・・)。