映画を作りたいと思うほどだった私も、最近は全く映画を観ていない。読売新聞には映画の紹介欄があるが、その映画がどこで上映されているのか、パソコンで調べれば分かることなのにめんどうになっている。
たまたま昨夜、カミさんが「何も観るものがない」と言うので、金曜ロードショーの『ボヘミヤン・ラブソディ』を観た。1970年にイギリスで生まれたロックバンドの物語だった。ロックは既成の音楽に挑戦したくらいの知識しかないのでよく分からなかったが、映画は面白かった。
ペルシャ系移民の青年が大学生のバンド仲間と『クイーン』を結成する。青年は移民であることを嫌って(?)、自らの名前をフレディと変える。フレディって、あの「葉っぱのフレディ」と同じ(?)。彼は最後にはマーキュリーと名乗ったというが、ローマ神話の神を目指したの(?)。
ボーカルであり作曲担当でもあったフレディの才能は、途方もないものだったようだが、生活ぶりもハチャメチャだった。会社はこれまでの路線を繰り返すように要求するが、彼らはオペラを取り入れた新ジャンルを開拓する。バンド『クイーン』が有名になると、仲間割れが生まれてしまう。そしてフレディがバイセクシャルであることが分かる。
映画の中の人間関係がよく分からなかったが、フレディ役を務めたアメリカの俳優の演技は凄かった。吹き替せずに彼が歌っている場面もあったようだが、そんな区別を超越していた。コンサートはド迫力で、ロックを知らない私なのに彼らに同調していた。
信頼できる人と愛する人、家族と仲間、その違いが問われた。フレディは恋していた女性を諦め、信頼できる男性を家族に紹介し、男性は最後まで添い遂げる。人にとって、何が幸せなのか、松井久子さんの著『疼くひと』に続いて問われた気がした。